「私は、人間の存在に関する最も大きな疑問の一つに答えようとしている」。ミリネルは、先週開催された「フォーブス400慈善事業サミット」にて、フォーブス誌の編集者ケリー・ドーランに対しこう語った。「私たちは宇宙で唯一の存在なのか?」
ミリネルは昨年、太陽の光を帆に受けて航行するソーラーセイルの実現可能性を試す「ブレークスルー・スターショット」プロジェクトに1億ドル(約110億円)を出資。スティーブン・ホーキングとマーク・ザッカーバーグをプロジェクト委員会のメンバーに引き入れた。
これは、シリコンバレーの大物にとってすら一風変わった取り組みだ。しかも、結果が期待できるのは何十年も先のこと。
「慈善事業の範囲はとても広い。99%は、人々が今日必要とするものに注力すべきだ」とミリネルは会場で述べた。「だが同時に、もっと外向きの事柄について検討する比較的少数、1%未満の慈善事業もあるべきだ」
かつてフェイスブックの株式を8%所有した投資会社DSTグローバルを率いるミリネルにとって、同プロジェクトはこの「大きな問い」に答えられる可能性は低いものの、その意義が非常に大きいために挑戦せずにはいられないのだという。
「私たちが10年以内に何かを発見する可能性は1%。しかしその意義は大きく、1%に意義を掛け算すれば、やる価値はある」
ミリネルのブレークスルー・スターショットやイーロン・マスクのスペースX、ジェフ・ベソスのブルー・オリジンに見られるように、民間による宇宙開発への投資は、この15年間で増加した。
一方、米国政府の宇宙開発分野への投資は鈍っている。現在の公的資金投入額は、現在の紙幣価値に換算して1000億ドル(約11兆円)相当を費やして宇宙飛行士を月に送った60年前とはかけ離れている。
「1960年代にはどういうわけだか、それが可能だった。私の出身国ロシアとの冷戦の恐怖も一部関係していただろう」とミリネルは語る。国の予算削減により生まれたギャップを、民間会社やミリネルのような支援者が埋めようとしているのだ。