市場規模3兆円、米チケット市場を激変させる「SeatGeek」の挑戦

(Photo by David Durochik/MLB Photos via Getty Images)

2008年の夏、コンサルタント企業の仕事を辞めたRuss D’Souzaと Jack Groetzingerは、StubHubのようなチケットの2次流通プラットフォームを立ち上げることを思い立った。米国ではコンサートやスポーツ、演劇などのチケットの転売プラットフォームが100以上も存在する。

二人が立ち上げた「SeatGeek」はモバイルから各プラットフォームの価格を比較できる点を強みとし、有力ベンチャーキャピタルから莫大な出資を獲得した。ニューヨーク本拠のSeatGeekは約2年前、フォーブスに「モバイル分野で最注目のチケット企業」として登場した後に売上を倍増させ、年間売上は2500万ドルに達している。同社の売上はチケット販売額の8%の手数料から生み出される。

同社は現在までに1億6000万ドル(約180億円)の資金をAccelやFounder Collective、TCVらから調達した。フォーブスはSeatGeekの売上が2017年に7000万ドルに達すると試算し、2018年には1億2500万ドルに成長すると見込んでいる。

SeatGeekはテクノロジーの力でディスラプションを起こし、大手のチケットマスターが支配する業界に変革をもたらそうとしている。SeatGeekが新たに開設したプラットフォームではアーティストやスポーツチームが、ファンたちに直接チケットを売ることが可能だ。

米国のチケットの1次流通市場は250億ドル(約2.8兆円)という巨大なもので、SeatGeek はこの分野に切り込んでいく。「チケット販売分野は1980年代から変わっていない。壊れたままのユーザーエクスペリエンスが放置されている」と32歳のD’Souzaは言う。

SeatGeekは昨年、米国とカナダのプロサッカーリーグ「メジャーリーグサッカー(MLS)」との提携をアナウンスした。「MLSとの取り組みを手始めに、この分野の変革を加速させていく。未来のチケット流通はモバイルの中にある」とD’Souzaは語った。

編集=上田裕資

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