「見える化」で変わる農漁業、カゴメは収穫量20%増に

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4. カビそうなイチゴをいち早く検出|理化学研究所

我々は普段、何も気にすることなく果物を口にしているが、その裏で農家は“あること”に悩まされている。それはカビによる腐敗の被害だ。特にイチゴの栽培における被害は甚大で、年間の被害金額は35億円にものぼる。

そうした問題を解決すべく、理化学研究所はカビが発生しそうなイチゴはどれか発見するセンサーの開発に着手している。レーザーを用いた超微量ガス検知技術を用いて、イチゴの苗から放出される微量ガスを分析。これによってカビ予備軍であるイチゴを早期に発見し、栽培現場から取り除くことで腐敗の被害を最小限に抑えようとしている。

5. 農薬を使わず、ドローンが害虫駆除|オプティム、佐賀大学農学部、佐賀県農林水産部

「夜の農業革命」を目指す。そんなコンセプトを掲げているのが、オプティムだ。

同社は「楽しく、かっこよく、稼げる農業」を合言葉に、佐賀大学農学部、佐賀県農林水産部とIT農業における三者連携協定を締結。殺虫機能搭載の「Agri Drone」を活用した、夜間での無農薬害虫駆除に乗り出した。これは、ドローンに搭載されたカメラで圃場を空撮し、撮影したデータを「OPTiM Cloud IoT OS」上でAIを用いて解析。作物の生育状況や病害虫の発生状況を管理する、というもの。2016年6月に実証実験に成功した。

6. 農機も無人化の時代|クボタ

農機メーカー最大手のクボタは今年6月、自動運転農機「アグリロボトラクタ」のモニター販売を開始した。このアグリロボトラクタは、高精度な「RTK-GPS」によって農地の形状を計測し、最も効率の良い作業ルートを自動で計算する、というもの。

また、無線リモコンで自動運転の指示を出せば、GPSによって自車の位置を常に計算しながら、作業ルートに基づいて農地の主要部分の耕うんや代かき作業を無人で行ってくれる。有人運転のトラクターと協調作業をすると、有人トラクター1台での作業に対して、時間を30〜40%程度削減できる。

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文=新國翔大

この記事は 「Forbes JAPAN No.38 2017年9月号(2017/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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