究極の過保護 子どもの就職面接に同伴する親たち

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その昔、親は子どもに対して就職するよう命令していた。時代は変わり、親は子どもに対して仕事に就くよう「励ます」ようになった。そして昨今では、親が子どもの採用面接に同席している。

ここで私が言う「子ども」とは、地元のファストフード店でのアルバイトを探している高校生のことではない。自らの選んだキャリアで初めて本格的な仕事を始めようとする、22歳の大学卒業生の話だ。

親が22歳の子どもの採用面接に同席すべきではないのは常識に思えるかもしれない。しかし「親同伴面接」は現実に起きている。また、親が成人した子どものキャリアに干渉する方法は、面接の同席だけにとどまらない。

子どものキャリアへの干渉方法

ミシガン州立大学は2007年、大学新卒者を採用する雇用主を対象に調査を実施し、成人した子どもたちの就職活動に親がどのように関与しているかを調べた。結果は次の通りだ。

・親が子どもの代理で会社の関連情報を入手しようとした(40%)
・子どもの代わりに親から履歴書を受け取った(31%)
・親に子どもを採用するよう説得された(26%)
・子どもの不採用について親から苦情を受けた(15%)
・親が子どもの面接を設定しようとした(12%)
・親が子どもの給与を交渉しようとした(9%)
・親が電話で子どもの昇給や昇進を頼んできた(6%)
・親が子どもの面接に同席した(4%)

調査の最後で、研究者らは雇用主に対し、親がその他の方法で子どもの職場に干渉してきたことがあるかを尋ねた。その結果、次のような回答もあった。

・子どもが締め切り前に職務を完了できるよう手伝ったり、品質向上のために仕事をチェックしたりする親がいた。
・叱責(しっせき)されたり懲戒を受けたりしたとき、親と話してからでないと監督者には会わないと言った従業員がいた。

雇用主によると、子どもの代理で就職フェアに参加して情報を集めたり、面接の設定を行ったりするのは母親が多く、給与の交渉や懲戒処分、不採用通知について企業に接触してくるのは父親であることが多い。

当然のことだが、雇用主は親の干渉に否定的だ。面接で息子の隣に座った母親が「息子は本当に自発的な人間です」と言っている場面を想像してほしい。また、両親に代理で履歴書を提出してもらった若者が、自分はやる気にあふれていると言っても、説得力に欠けるだろう。
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編集=遠藤宗生

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