ウーバーは即座にオンライン署名サービスChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)で署名集めを開始、TfLの決定の撤回を求めている。請願書への署名は、25日夜(現地時間)までに76万6400筆を上回った。
ウーバー・ロンドンのゼネラルマネジャー、トム・エルビッジは決定の発表を受け、「…免許を持った4万人以上のドライバーが仕事を奪われる」「ロンドン市民が便利で料金も手頃な交通手段を奪われる」と警告した。同社サービスを利用しているロンドン市民は、およそ350万人に上る。
Change.orgに請願書とともに掲載されている署名のない文章は、エルビッジと同様の主張を展開。「消費者の選択肢を制限しようとする少数派に屈した」として、TfL会長でもあるロンドンのサディク・カーン市長を非難している。
TfLは決定の理由として特に、ウーバーの違反行為を指摘した。同社は「個人ハイヤー」の免許で営業してきたが、その免許の適格性基準を満たしておらず、「企業としての責任に欠ける」という。複数ある問題のうちの一部として挙げられているのが、重大な犯罪の報告に関する同社の対応と、ドライバーの健康状況の確認方法に関する懸念などだ。
また、出張・経費管理を支援し、ウーバーとも提携している米コンカー(Concur)によれば、2016年第2四半期からの1年間に、出張でロンドンに滞在する人のウーバーの利用率はおよそ85%増加している。同社サービスに支払われた料金と利用者数はそれぞれ、67%、73%増加した。営業禁止の影響を受けるのは、ロンドン市民だけではない。
コンカーの関係者は筆者の取材に対しメールで、「出張中にウーバーのサービスを利用する世界各国のビジネス界に訴えれば、わが社はより大きな勢いを得ることができるだろう。署名の数がそれを示唆している」と述べた。
ウーバーはTfLの決定が発表された日から21日以内であれば異議を申し立てることが可能。最終的な判断が示されるまでは、営業を継続することができる。
新CEOの態度に見る「謙虚さ」
一方、さまざまな問題で物議を醸してきたウーバーだが、新たな経営陣の下、その態度には変化が見え始めている。同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)だったトラビス・カラニックに代わって同職を引き継いだダラ・コスロシャヒは25日、公開書簡の中で「自社が犯した過ち」を謝罪。ウーバーは「変わらなければならない」との考えを示した。
コスロシャヒはまた、米紙ニューヨークタイムズが入手した従業員向けの文書の中で、「われわれが自らの取る全ての行動において誠実であること、事業を展開する全ての都市のより良いパートナーとなるためにどうすべきかを学ぶことが、非常に重要だ」と述べている。