これは一言でいうと「注文を取るホールスタッフが、みんな“認知症”のレストラン」です。今年6月にプレオープンという形で、80人程のお客様をお呼びして実施したところ、国内外で非常に大きな反響を呼び(と自分で言うのはすごく恥ずかしいのですが…)、9月21日の世界アルツハイマーデーを前に、再び開催することになりました。
さて、今回の「注文をまちがえる料理店」ですが、基本的なコンセプトややり方は前回を踏襲しています。ですので料理店の雰囲気なんかを知りたいなと思ってくださった場合は、たいへん恐縮ですが、まずは前回の記事を読んで頂ければ大変嬉しいです。
というわけで今回は、プレオープンとは大きく変えたいくつかの点にフィーチャーしながら書き進めていきます。
まず今回の「注文をまちがえる料理店」における一番大きな変更点は、クラウドファンディングで資金を調達した点です。日本最大規模のクラウドファンディング企業Readyforさんのサポートを受け、8月7日から24日間でクラウドファンディングを開始。目標額800万円に対して、493の個人、企業、団体から合計1291万円のご支援を頂くことができました。この場で改めて、心からのお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
クラウドファンディングの資金調達結果
と、ここで早速話が横にそれますが、クラウドファンディングが始まったその日にReadyforさんから聞いたんですけど、本来この目標金額だと24日間なんて期間設定はしないんだそうです。普通ならその3倍の期間は必要とのことで、「うん、そういうことは早く言って欲しかったな」って思いました。集まって本当に良かったし、感謝しかないんですけど、この3週間は生きた心地がしなかったです。
今回のクラウドファンディングの方式が「All or Nothing」といわれるもので、集まらなければプロジェクト不成立、お金は全額返金という恐ろしい方式だったので、プロジェクトの発起人としては変な責任を感じちゃって。でも、Readyforさんは「このプロジェクトは前例がないことばかり起きるから絶対に大丈夫ですよ!」って力強く言っているし、まあプロがそう言うんだから……くらいでやってみたんですけど、達成するまでは生きた心地がしなかったです。
それはさておき、今回僕は企業協賛ではなく、クラウドファンディングにこだわったのですが、それは結果的にすごくよかったと思います。
このプロジェクトは、僕自身、本業とは関係なくやっている個人的なプロジェクトです。そうしている理由は、特定の企業がプロジェクトを抱えてしまうと、どうしても特定の“色”がついてしまい、せっかく参加したいと思っている人や団体がいても、様々な事情でご一緒できなくなるかもしれない、という予感がしたんです。
そういう意味で、クラウドファンディングという手法はうってつけでした。お金を出すという方法を通して、このプロジェクトの一員になってくださる人がたくさん増えていく。それは、単に資金が集まるということ以上の意味があるように思えました。
実際、このプロジェクトを知って、自主的にグループを立ち上げて一口1000円からのカンパを募り、何十人という仲間と一緒にどかっと支援してくださったというケースもありました。また、高校生が大切なお小遣いの中からお金を出してくれたという話も聞きました。この一人一人が、「注文をまちがえる料理店」の趣旨に賛同してくれている仲間なのだと思うと、ものすごく心強く思いました(本当に生きた心地がしないほど不安だったもので)。