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高野:つまり、銀行は必要だけれども、変わる必要がある、ということですね。すると経営の下手な金融機関はいずれ淘汰されていくということでしょうか。

:借り手側に資金ニーズは確実にありますが、例えば大企業や地方公共団体などの信用力の高い貸出先には「貸したい」と考える金融機関が集中し、オーバーバンキング(銀行過剰)のような状況になっていることもあります。資金の需要と供給にギャップが生じてしまっているのです。

ある信用組合は、銀行がまったく目を向けない事業者に対して無担保の個人ローンや中小企業向けローンなどのサービスを提供し始めたら、収益が上がるようになったそうです。その信組の理事長は「貸出先はいくらでもあります」と話していました。その信組では、貸出先の事業の実態把握を行うため、工場まで足を運ぶそうです。

銀行にしても、投資ファンドにしても、やはり融資先や投資先の事業を理解していることが最も重要です。融資先や投資先がどうなればもっと成長できるのか、どうすれば事業の芽が出るのか。多くの金融機関がそうした視点や能力を持てば、経済の発展や金融機関自身の成長にもつながります。

それが、私が言い続けてきた「クリエイティング・シェアード・バリュー(共通価値の創造)」の考え方です。

高野:長官も力を入れてきた資産運用ビジネスについてはいかがでしょうか。

:日本ではこれまで、「貯蓄から投資へ」と言われながらも、約1800兆円に上る個人金融資産の半分以上がいまだに現金・預金です。これまで国民の資産形成はなかなか進まず、リスクマネーの供給も不十分でした。たくさんの資産を持つ年金や機関投資家の運用の高度化も進まない状況にありました。



ただし、安倍政権になってからは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革やゆうちょ銀行の運用高度化など、変化に向けた機運が盛り上がってきました。今までの運用先はほとんどが国債でしたが、運用の高度化が進むと、資産運用業界にも優秀な人材が集まりますし、必要なインフラの整備も進んでいくのではないでしょうか。

高野:同感です。なぜ急に変わり始めたとお考えですか。

:資産運用会社も運用商品の販売会社も、みなプロの方々です。私よりもずっと「このままではいけない」と感じていたのではないでしょうか。金融庁の立場で言えば、金融機関のコンプライアンス(法令順守)に注力するよりも、もっと金融全体のお金の流れをよくする方向に舵を切るべきだということです。こうしたムードが、安倍政権の経済政策とシンクロしたのではないでしょうか。

高野:消費者の資産形成を進めるためにはどんなことをすべきだと考えていますか。

:国内で今売られている投資信託の純資産総額上位10位や20位までの商品の多くは、販売手数料が3%を超え、信託報酬も高い。また、株式市場の注目度の高い「テーマ型」の商品も目立ちます。こうした商品に投資しても、継続的に儲けるのは至難の業です。

これに対し、米国ではノーロード(手数料無料)で、信託報酬も低く、運用会社の旗艦ファンドのような大型商品が上位を占めています。投資家は、こうした商品に投資することで、“成功体験”を得てきました。日米両国の違いは、投資による成功体験が反映されているかどうかだと思います。

日本でもようやく、NISAや18年1月に開始予定の「つみたてNISA」、個人型確定拠出年金「iDeCo」などを通じて、長期的にこつこつと資産を形成していく取り組みが徐々に根付こうとしています。金融機関や運用会社側にも、“長期”“分散”“積み立て”といった投資手法を広げる動きが強まってきました。それが顧客に成功体験を与えることになれば、日本の状況も変わると期待しています。

文=池田正史 写真=ヤン・ブース

 

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