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森信親 金融庁長官(左)と高野真 フォーブス ジャパン編集長

金融庁の森信親長官は、金融機関に対し、透明性の高い統治体制や融資先の成長性を優先する姿勢を求めるなど、しがらみにとらわれない政策を次々と打ち出してきた。

今なお残る課題は何か。これから踏み込む施策は。弊誌編集長、高野 真が就任3年目に向けた思いを聞いた。



高野 真(以下、高野):金融庁長官として異例の3年目に入りました。長官はこれまで、機関投資家の行動規範を示す「日本版スチュワードシップ・コード」の改定や、2014年1月にスタートした「少額投資非課税制度(NISA)」の普及、さらに資産運用ビジネスのバランス化、金融機関の国際対応など、本当にさまざまな成果を上げてきたと感じます。

ご自身で満足している部分や、まだ「もう少し」と思える部分がありましたら教えてください。

森 信親(以下、森):成果が出ている部分もあれば、まだ途上の部分もあります。ただ、今までやってきたことが間違いだったとは思っていませんので、さらに進めていきたいと考えています。

高野:検査局の廃止を報じたニュース(8月22日取材)には、衝撃を受けました。金融庁自身が変わるというメッセージとして受け止めてよろしいですか。

:現在の課題は、金融庁を変えることです。金融業界を取り巻く環境は、この数年だけでも目まぐるしく変わりました。金融庁も、将来の課題を見据えた「フォワードルッキング」の政策姿勢に改めていかなければなりません。

特に現在は、金融とIT(情報技術)を組み合わせた「フィンテック」に代表されるように、金融商品やサービス、技術の高度化が進んでいます。そのため、金融庁の職員の専門性を高めるとともに、金融機関など業界のプロの方々の意見や知見を絶えず反映できる仕組みをつくっていく必要があります。

高野:金融庁にとって、従来のどのような点が課題だと考えていますか。

:2000年の金融庁発足当時は、銀行が巨額の不良債権を抱え、適切に処理できずに身動きの取れない状況でした。市場も、銀行に対して不信感を持っていました。そのため金融庁は、銀行の保有資産を一つずつ査定し、銀行にそれぞれのリスクに応じた貸倒引当金を積んでもらい、財務内容に対する信頼を回復する取り組みを続けました。現在の麻生太郎金融担当相が「金融処分庁」と呼ぶようなものです。

当時は大きな意味のある仕事でしたが、問題は、その後もずっと同じことをやり続けてしまったことにあると思います。08年9月にリーマン・ショックが起きると、欧米の監督当局も当時の日本のように規制強化一辺倒の姿勢になりました。金融システムの安定性は確かに重要です。しかし、規制には副作用があります。やはり金融が持続的に発展しなければ経済全体が回らなくなってしまいます。

その後、欧州で導入されたマイナス金利政策が金融機関の健全性に影響を与え始めたり、トランプ政権の発足により金融システムの安定性と経済成長の両立を図る動きが出始めたりしました。2年前に長官に就任してから言い続けてきたことが、ようやく世界の共通認識になってきたと考えています。

高野:金融が変わっていく上で、政府が変わることは確かに重要です。一方で、プレイヤーである金融機関も変わる必要があると思います。金融機関の姿勢に変化は見られますか。

:金融機関によってずいぶん差があると思います。変化への対応は、それぞれのガバナンスの違いによって表れると考えています。例えば、海外の金融機関との競争や投資家の圧力にさらされることの多い大手金融機関は、変わろうとするメンタリティが強い。これに対し、仮に営業の現場で「このままではダメだ」と考える職員がいたとしても、その声が経営陣に届かず、変わることに逡巡する地方の金融機関もあります。

現在は、各国が導入した金融緩和政策を背景に低金利化が進み、短期金利と長期金利の差が縮小しました。また、生産年齢人口の減少に伴い、貸出先そのものの減少も見込まれています。今までのように、短期金利で預金を集め、長期金利で貸し出すという長短金利差を利用して利ざやを稼ぐ旧来のビジネスモデルでは、いずれ立ち行かなくなるでしょう。金融機関もリスクを取らなければ収益を上げるのは難しくなっていきます。

ただ、銀行がいらなくなるとは思っていません。貸出先である企業も今、変革を迫られています。金融機関がそれぞれの企業の手がける事業をよく理解した上で、必要なアドバイスやファイナンスを提供できるようになれば、まだまだ生きる道はあります。

文=池田正史 写真=ヤン・ブース

 

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