1. ブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ
シャンパンに使われる、主要なブドウ品種は、白ブドウのシャルドネ、黒ブドウのピノ・ノワールとピノ・ムニエ。この3種で、全栽培面積の99%を占める。規則上は、他のブドウ品種も認められているが、あまり見かけない。
モエ・シャンドンやルイ・ロデレールといった大手メゾンのスタンダードなシャンパンは、この主要な3種類のブドウを、それぞれの特徴を活かし、メゾンのスタイルに合わせて、バランスよく配合している。
2. ブレンドが要
伝統的に、シャンパンの鍵となるのが、「ブレンド」(フランス語では「アッサンブラージュ」という)の過程。シャンパンの大多数は、ブドウ品種の異なるワイン、様々な地域・畑で収穫されたブドウで作られたワイン、複数の収穫年でできたワインをブレンドして作られる。これにより、最終的なワインの調和を取り、個々のワインの可能性を超えたワインを作り出す。
この背景には、冷涼で厳しい気候条件下、品質を安定させるという目的もある。特に、大手メゾンでは、ときには、数100種類というワインを個別に醸造、保管し、それらをブレンドすることにより、長年に渡り、一貫して、そのメゾンのスタイルのシャンパンを作っている。ブレンドは、醸造長の腕の見せどころ。
たとえば、クリュッグのフラッグシップ商品である「グランド・キュヴェ」(Grande Cuvée)は、10年以上の収穫年にわたる、150〜200種類といった多数のワインをブレンドして作られる。一つ一つのワインの特徴を考え、最適な配合を決める、まさにアートの世界。
3. 収穫年の表記がないNVが基本
通常のスティル・ワインは、収穫年の記載があるが、シャンパンは、複数の収穫年でできたワインをブレンドして作るものが多数であり、その場合、ラベルにNV(Non-Vintage)と表記される。ちなみに、ワイン用語で、「ヴィンテージ(Vintage)」とは、単に、ブドウの「収穫年」を意味する。
その理由のひとつは、シャンパーニュ地方では、ブドウの出来がその年の天候に大きく左右され、毎年安定した品質・量のワインができるという保障がないからだ。そのため、良年のワインを「リザーヴワイン」として保管し、最新の収穫年のワインに、過去のリザーヴワインをブレンドすることにより、一貫して、安定した品質のシャンパンを作る。
これに対し、良い収穫年には、その年のブドウだけを使って作る、「ヴィンテージ」(Vintage)シャンパンが作られる。この場合、ラベルには収穫年が明記される。「ドン・ペリニョン」や「クリスタル」といった、大手メゾンの商品ラインナップで、最高品質のシャンパンである「プレスティージュ・キュヴェ」(Prestige Cuvée)は、大多数が、単一の収穫年のブドウから作られる、ヴィンテージ・シャンパンである。