相互リスペクトが最強チームを生む、50代と若者世代の付き合い方

(左から)筆者、Indeed Japan代表取締役の高橋信太郎さん、画家の勝屋久さん


リスペクトに年齢は関係ない

では二人は、若い起業家とどういう気持ちで接しているのか?

「僕は起業した経験がないから、起業しているだけで僕よりエライ。どんな形であれ、自分にないことをしている人は、リスペクトする。だから会話が成立しやすい」と言うのは高橋さん。

勝屋さんは「上から目線じゃ”こわい”んだよ。安心安全で、元気もらえるのがいいと思うでしょ」と言う。自らを上と思わず、よいバランスをつくる。言うは簡単だが、無意識に上から目線になっている年長者は多い。

反対に、メンターに寄ってくる若い起業家も様々だ。打算が先に立つ人も少なくない。かと思えば、お返しするものがないと萎縮し過ぎる若者もいる。

「メンターする相手は、年齢関係なく僕が好きだと思える人。自分がやりたいことじゃなくて頭だけで起業している人はダメ。そこに自分という存在(心)がある人が大前提。ポジショントークも好きじゃない」(勝屋)

つまり、自分を持っている若者がオッサンのやる気とLOVEを引き出し、オッサンが年上ぶらずに接することで、互いを活かすことができる。双方向のリスペクトが前提だ。

ところで、若者から見てステキなオッサンとはどんな人なのか?

「人間力がある、かっこいい大人になりたい」という勝屋さんには、自分らしく生きているイカした兄貴的存在がいるという。日産自動車やauの携帯電話などを手がけた伝説的デザイナーで、いまも若い人を応援している坂井直樹さん(70)だ。今月の古希の会は、エネルギーあふれる年長者男女と若い世代で超満員だった。

筆者の経験でも、世代を超えたメンタリングは、仕事のみならず人生相談まで長きにわたるよい関係になることが多い。例えば、Labitの鶴田浩之社長(26)は、ふたまわり以上離れたネットエイジ創業者・西川潔さん(60)を”東京のお父さん”と慕い、育ててもらった恩を忘れない関係だ。

素敵なオッサンはどこにいる?

しかし、日本で世代を超えてメンターやっている人は少ない。今後は、起業家が自分の会社を離れ、そういう活動する人も少しずつ増えるだろう。副業の解禁も一役買う気もする。それでも多いというまで増えないだろう。それに現状は、とても少ない。

一般論では、メンターは一社や同一部署で長年勤めあげた人よりも、幅広い経験があった方がいい。高橋さんと勝屋さん、そして私もイレギュラーなキャリアだが、とびぬけた個人というわけでもない。

そして、この取材をしていてはたとこんな話になった。

「僕らは、若くて面白い人に会うことばかりで、面白いオッサンの発掘をしてこなかった。若い起業家に、いいやつなんだよ、と僕らが紹介でもしないと、誰もやらない。素敵なオッサンの発掘は僕らの責任と考えていいのでは」(高橋)

確かに、楽しみながら面白いオッサン(年長者)が集まる仕組みができたら理想的だ。若い人に、「面白い人いるから一度会ってみたら?」と推薦できたら、若者とオッサン、お互いにとってハッピーに、コトが前に進むだろう。

そこで読者の皆さんにご提案。自分が面白い50代(男女問わず)だと思う方、10月17日(火)13時に都内某所で集まりましょう。この3人の誰かにどうにかしてたどりつき、自己紹介情報をご連絡ください(フォーブス ジャパンには問い合わせしないでくださいね)。勝手ながら選抜の上、集合場所を連絡差し上げます。勝屋・高橋・本荘がお待ちしております。


高橋信太郎◎Indeed Japan代表取締役。伝説の学生企業リョーマを経て、関西大学哲学科を卒業し、89年リクルート入社。求人広告事業、新規事業開発室、ゲーム誌じゅげむ創刊、出向や会社立ち上げを経て、01年GMOアドパートナーズ入社。15年、取締役会長に就任。2016年より現職。gumi社外取締役も務める。

勝屋久(Katchaman)◎Team♡KATSUYA LOVEコネクター/画家。上智大学理工学部数学科卒業後、日本IBMにて25年間勤務。IBM Venture Capital Group パートナー日本代表などを経て、2010年8月に独立。『心でつながる場を創り、人の輝きを呼び覚ますお手伝い』をコンセプトに生き方そのものを職業として活動開始。2014年から本格的に画家として活動開始。アカツキ社外取締役/応援団長、ビジネス・ブレークスルー大学客員教授などを兼務。

文=本荘修二

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