知られざるiPhoneの新機能「QRコード標準化」に見る中国シフト

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アップルは9月20日、iOSの最新バージョン「iOS 11」の配布を開始した。ここで注目したいのはiPhoneやiPadの標準カメラアプリに、史上始めてQRコードの読み取り機能が導入されたことだ。

これまでアップルのデバイスでQRコードを読み取る場合は、サードパーティのアプリをインストールする必要があった。しかし、今回のアップデートによりデフォルト状態でQRコードの利用が可能になる。標準カメラアプリでQRコードが利用可能になる意味は非常に大きい。

今回のアップデートはQRコードが普及した中国市場を意識してのことと思われるが、今後は西側諸国のスマホを通じたマーケティング戦略にも影響を与えるかもしれない。

QRコードは米国をはじめ西側諸国では普及しているとは言い難いが、アジア諸国ではここ10年間で急速に浸透が進んだ。特に中国での普及ぶりは凄まじく、アナリストのShen WeiはCNNの取材に「アジアでは2016年に1兆6500億ドル以上のモバイル決済がQRコード経由で行われており、その3分の1が中国でのトランザクションだった」と述べている。

また、直近のデータでは米国人のスマホユーザーの34%がQRコードをスキャンした経験を持ち、この値はタブレットユーザーの間では46%に達している。今後の1年で利用率はさらに高まることが期待される。

QRコードの利用ケースとしては、モバイルでの支払いやクーポンの表示、カスタマーサービスへの通話の発信、投票、WiFiへの接続、アプリのダウンロードといった例があげられる。

また、フェイスブックやツイッター、スナップチャットにもQRコードを用いてアカウントをフォローする機能の導入が進んでいる。欧米のマーケティング担当者らは様々なサービスへのQRコードの導入を、真剣に検討すべき時期を迎えたと言える。

編集=上田裕資

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