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2017.09.23 12:00

イーロン・マスクが支援の教育財団「Xプライズ」の活動

dilyaz / shutterstock.com

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世界には、読み書きや初歩的な計算ができない子供が2億5000万人もいる。ユネスコの試算によると、現在教師の数は160万人不足しており、2030年までにその数は倍増するという。こうした状況に救いの手を差し伸べたのがイーロン・マスクだ。
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マスクは、テスラとスペースX以外にも、人工知能の研究を手掛ける「OpenAI」、神経テクノロジー企業「Neuralink」など数多くの企業の経営に携わっている。マスクは最近、途上国の子供向けにオープンソースの教育ソフトウェアを開発するコンテストの「グローバル・ラーニングXプライズ(Global Learning XPRIZE)」に1500万ドルを提供した。

このコンテストの目的は、初等中等教育を受けることができない2億5000万人の子供たちが、15か月間で読み書きと算数を習得できるソフトウェアを開発することだ。

Xプライズは9月18日、ファイナリスト5チームを発表し、各チームに100万ドルの賞金を授与した。5チームは、11月からタンザニアでフィールドテストを開始する予定だ。
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「これらの優勝チームは、恵まれない子供たちの識字率向上に大きな貢献をするだろう」とXプライズ財団のCEO、Marcus Shinglesは述べている。選出されたのは下記の5チームだ。

・CCI(ニューヨーク州、米国):プログラミングのスキル無しでも、あらゆる言語や科目で優れた教育コンテンツを作ることのできるプラットフォームを開発。

・Chimple(バンガロール、インド):タブレットを使って、60以上のゲームと70以上の物語を通じて読み書きと算数を学ぶことができる学習プラットフォームを開発。

・Kitkit School(バークレー、米国):子供たちの知識レベルやスキル、環境に関わらず独自に学ぶことができるゲームベースの学習プログラムを開発。

・onebillion(英国/マラウイ/タンザニア):計算と読み書きを組み合わせた教材を通じ、学習能力と創造性の向上を図りながら、子供たちのニーズに応えるために継続的な監視を行う。

・RoboTutor(ピッツバーグ、米国):カーネギーメロン大学による読書や算数の指導法、音声認識・合成、機械学習、教育データマイニング、認知心理学、人とコンピュータの相互作用などに関する研究を行う。

グローバル・ラーニングXプライズは、フィールドテストの実施に当たってユネスコ、世界食糧計画(WFP)、タンザニア政府と提携をした。今後、150の村に住む約4000人の子供たちにグーグルが寄贈したタブレット「Pixel C」8000台を提供し、15か月間に渡ってソフトウェアをテストする。

テスト期間内に子供たちの読み書きと算数の能力を最も向上することができたチームに、1000万ドルの賞金が授与される。優勝チームの発表は2019年4月に行われる予定だ。ソフトは誰でも無料で使用できるようにするため、5チームにはコードとコンテンツをオープンソース化することが求められる。これにより、Xプライズは世界中に優れた教育ソフトウェアを広めたいと考えている。

編集=上田裕資

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