F1伝説の名を受け継ぐ「MINI」は、ホットな2つの顔を持つ

MINIジョン・クーパー・ワークス


ではとにかく、乗ってみることにしよう。JCWの乗り心地は、市街ではかなり固く、荒れた路面では、お仕置きを受けているという感じだろうか。でも、この固いサスペンションこそ、重い金のインゴットを大量に載せて疾走する「ミニミニ大作戦」の主役に打ってつけだ。ゴーカートっぽい走りは曲がりくねった道にぴったりで、めいっぱいアクセルを踏みたくなる。それにステアリングも正確だし、路面からのフィードバックも充分ある。

映画の主役を務めるには、ルックスも無視できない。由緒あるMINIのDNAを受け継ぐJCWのテーマカラーは、レベル(反抗)グリーンとチリー・レッドのツートーン。赤い4ピストンのブレンボー製ブレーキキャリパー付きで、JCWのロゴがふんだんにあしらわれている。

ゴツいメッシュ・グリルには、 エンジンを冷やすために空気をたくさん取り込む気迫が漂う。ホイールも19インチとボディに比してかなり大きめで、リア・スポイラーもつけている。この車の“衣装”は走り好きを限りなく誘惑する。

室内も、MINIらしい基本を守っている。ダッシュボードの中央には、がっつりと大きく丸いスクリーンが誇らしげに座を占め、飛行機の操縦席のようなトグル・スイッチ類が並ぶ。好きな人にはたまらないだろう。シートはスポーティな本革とアルカントラのツートーンでホールド性がいい。本革ステアリング・ホイールとギアノブはステッチを施した本革だ。リアの観音開きドアも新鮮で使いやすい。



JCWは、市街走行での燃費性能がよいグリーン・モードと、脚をさらに固めてスロットルの反応をよりシャープにするスポーツ・モードを備えている。 しかし、510万円という価格はベース車のMINI ONEの230万円と考えればクラス違いだ。それでも両方楽しみたい人には、とても楽しいクルマといえる。

性質も音も両極端な2つのモードは、まるでジキルとハイド。これは、映画のストーリーの伏線にもなりそうではないか?

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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