娘のフランソワーズ・ベタンクール・メイエルは21日に発表した声明で「リリアン・ベタンクールは昨夜、自宅で亡くなりました。安らかな最後でした」としている。
ベタンクールは、ロレアルを1907年に創業したウージェンヌ・シュエレールの一人娘かつ唯一の遺産相続人で、同社株式の33%を保有していた。フォーブスの世界長者番付では、1987年の初回ランキングに総資産額10億ドル超で登場している。
ベタンクールはメディア嫌いで知られていたが、晩年はその財産をめぐる法廷闘争によって注目を集めた。裁判所は2011年、認知症を患っていたベタンクールには身辺管理能力がないと判断し、娘と孫たちを後見人に選任。孫のジャン・ビクトル・メイエルは翌年、ベタンクールをロレアルの役員から退任させた。
2015年5月にはフランスの裁判所が、写真家や元資産管理人を含む8人に対し、ベタンクールの精神状態を利用して彼女から数百万ユーロ(数億円)単位の大金をだまし取ったとして、有罪判決を下した。
ベタンクールの存命中、ロレアルは世界で8万9300人の従業員を抱える国際化粧品企業へと成長。2016年の売上高は285億8000万ドル(約3兆2000億円)で、キールズやメイベリンなど34のブランドを傘下に抱えている。