Wishは中国で製造された割安な商品が、ダイレクトに顧客の元に届くEコマースサービス。元グーグルのPeter Szulczewskiらが2010年に共同創業したWishはサンフランシスコに本拠を置く。
Pitchbookのデータでは同社は今年5月に企業価値35億ドルで5億ドルを調達していた。その後、半年足らずで企業価値は2倍以上に伸びたことになる。Wishは今回の資金調達の以前に、合計12億5000万ドル(約1400億円)を調達している。
Wishのアプリではサングラスや腕時計が1ドル、男性向けのセーターが8ドルといった価格で販売されている。また、玩具やトイレタリー用品は1ドルや2ドル程度で売られ、それと同程度の送料で入手できる。なかには、無料のネックレスや口紅等のアイテムもあり、それらは送料のみで顧客の元に届けられる。Wishは売上の15%を手数料として徴収する。
商品は中国から発送されるため、到着までに2週間から4週間を要するが、Wishは既に3億人に利用されているという。調査企業Sensor TowerによるとWishは2017年前半に前年比50%近いユーザー増を遂げており、顧客の3分の2近くが女性だという。
ただし、PitchbookのデータではWishはまだ利益を生み出せていない。ニュースメディアStrictly VCの取材に対し、Szulczewskiは「Wishの売上は数十億ドル規模だ」と述べていた。公式サイト上でWishは「当社は世界で6番目の規模のEコマース企業であり、今後はナンバーワンを目指している」と述べている。
Szulczewskiによると「米国ではアマゾンで商品を買う余裕がない、“見えない半数の人々”が存在し、Wishはその層をターゲットにしている」という。
昨年12月のCode Conferenceの会場でSzulczewskiはこう話していた。「大統領選挙について話す時、人々の多くは『自分はドナルド・トランプに投票したという人に会ったことがない』という。シリコンバレーの投資家たちは、Wishがここまで人気があるのが信じられないというが、トランプが勝利したのと同じことが我々のプラットフォームで起こっている」