レシピ解析からナレーションまで、AI関連アプリの今

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AI(人工知能)を使ったアプリと言えば、「Siri」や「Google Now」など、音声アシスタントが真っ先に思い浮かぶ。普通に会話するようにスマホ端末に話しかけると、AIが適切な検索結果や情報を教えてくれたり、一部のアプリではユーザーの行動を管理・サポートしてくれる機能も搭載されている。

昨今、こうしたアプリの会話処理能力は着々と向上しており、スマホライフに欠かせないものになっている。

市民権を得はじめたファッション系AI

一方、ユーザーが気になった服をAIが調べて情報を伝えてくれるアプリも、徐々に市民権を得ている。スマホアプリランキングサイト「Appliv」内の「AI搭載アプリランキング」コーナーでは、ファッション検索AIアプリのトップとして「PASHALY」がランクイン(2017年7月26日付)していた。

PASHALYの特徴は、服やアクセサリーを撮影してアプリに送ると、似たようなアイテムを自動的に探してくれること。また、その製品、もしくは類似品が販売されているECサイトなども知らせてくれる仕組みとなっている。あまり数がない限定品や、珍しい形状のファッションアイテムを探す際は非常に便利と言えよう。

この分野のAIアプリとしては、日本ではカラフル・ボード社の「SENSY」の知名度が高い。これは、AIがユーザーに合ったコーディネイトをおすすめしてくれるというアプリだ。ただユーザーの評価には「通信エラー」や「強制終了」などへの言及も見られ、アプリとして商用化するためには、AIの精度以外にも、ユーザービリティの向上が必須と言えそうだ。

なお、カラフル・ボード社はユーザーの味覚・感性を学習し、趣向に合ったお酒を提供してくれる「SENSYソムリエ」も展開している。今年7月からは「クラフトビール版」も提供開始されており、その成否にも注目が集まる。

画像からレシピをひもづけるAIアプリ

料理×AIアプリで言えば、MIT(マサチューセッツ工科大学)のコンピュータ科学・人工知能研究所がテスト版を公開している「Pic2Recipe」も興味深い。AIを使って画像解析をするという仕組みこそはPASHALYなどファッション系のAIアプリと同じだが、その適用範囲が料理なのだ。Pic2Recipeには、料理の写真データを入力すると、その料理にまつわるレシピを教えてくれる機能が搭載されていて、別名「食品認識アプリケーション」とも呼ばれている。

研究チームは100万を超えるレシピのデータベースを構築。食材についての情報を収集し、ニューラルネットワークを訓練した。AIは現在、画像からパターンを発見し、料理とレシピを結びつけるために使用されている。画像から小麦粉、卵、バターのようなさまざまな成分を特定でき、似たような料理のレシピを示唆することもできる。

現時点でPic2Recipeの精度はおよそ65%。料理の種類は星の数ほどあるので、AIアプリがそのすべてを認識することはまだまだできないようだ。それでも、より多くの訓練を受ければ、将来的に精度が改善されていくかもしれない。
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文=河鐘基

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