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2017.09.21

相乗り仲介の「ブラブラカー」、パリ近郊で通勤者向けサービス開始

Daniel Krason / Shutterstock.com

パリを拠点とする相乗り仲介サービスのユニコーン企業、ブラブラカー(BlaBlaCar)は先ごろ、これまで提供してきた長距離移動での相乗りの仲介に加え、交通渋滞が深刻なパリ市内と近郊での通勤客向け相乗り仲介サービスを開始すると発表した。

ブラブラカーは、パリを中心としたイルドフランス地方で、短距離を移動する利用者向けにサービスを提供する。北部マルヌ県のランスとシャロンアンシャンパーニュ、南西部オートガロンヌ県のトゥールーズとタルンエガロンヌ県モントーバンなど、距離が約48kmの都市の間で行ってきた試験プログラムを拡大する形だ。

ブラブラカーの創業者、フレデリック・マッツェラ社長によれば、「ブラブララインズ(BlaBlaLines)」と名付けた新サービスには、すでに2万人近くの利用者が登録している。ランスとシャロンアンシャンパーニュ、トゥールーズとモントーバンの1週間当たりの往復の利用回数はそれぞれ、2000回、5000回に達しているという。

配車サービスのウーバーやリフトと同様、ブラブラカーのサービスもアプリを介して利用する。アプリを開けば、ドライバーたちの自宅から職場までの経路と、利用者を乗車させることができる場所が示された地図を確認することができる。ただし、車に乗せてもらえる場所まで歩かなければならないことから、パリ市民がこのサービスをどの程度、通勤のために利用するかは不明だ。

だが、首都が渋滞緩和のための解決策を切実に必要としていることは間違いない。オランダのナビゲーション機器メーカー・トムトム(TomTom)によると、パリは国内で2番目、世界で35番目に渋滞が深刻な都市だ。パリ市民が交通渋滞に巻き込まれる時間は、年間平均およそ154時間に上るという。

数少ない成功例

フランスでは珍しいスタートアップの成功例といえるブラブラカーの事業拡大は、さまざまな意味で注目に値する。政府の官僚主義など多くの問題を多く抱えてきたフランスで起業し、成功した同社は2015年にシリーズDラウンドで2億ドル(約223億円)を調達。評価額を16億ドルに引き上げ、数少ない欧州のユニコーン企業の1社となった。

ブラブラカーによれば、世界各国で同社のドライバーとして登録し、サービスの提供に関わっている人は、およそ800万人。ウーバーやリフトとは異なり、同社のサービスは長距離移動の際の相乗りの仲介が中心のため、利用者の平均移動距離は約354km。1マイル(約1.6km)当たりの料金は、場合によってはウーバーの30分の1程度にとどまるという。

ただ、2015年の資金調達後は複数の国で事業が伸び悩み、メキシコやインド、トルコの各市場から撤退。フランス国内でも停滞が続いた。そのためブラブラカーは、新たな市場を求めてロシアに進出。同社にとってロシアは現在、最大の市場となっている。同国のベンチャー・キャピタル、ベアリング・ボストークからは昨年、2100万ドルの出資を受けた。

ロシアでのビジネスが順調なことを受け、ブラブラカーは同国に加え、さらなる成長が見込める東欧でも事業を拡大している。

編集=木内涼子

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