ビジネス

2017.09.19

中国進出強化のアマゾン、現地採用で「越境コマース」開拓へ

testing / shutterstock.com


アレクサの中国対応が必須

「アマゾンは中国消費者に向けたライフスタイルコンテンツの拡充を狙い、それにより海外の食品や飲料の売上増を見込んでいる」とNatkinは述べた。

一方でアマゾンには別のチャンスもある。アマゾンが中国で採用するプログラマやエンジニアの数から考えて、彼らが今後、人工知能(AI)を用いたサービスの立ち上げを企んでいることも考えられると、上海のKantar RetailのアナリストのJane Xuは言う。

アマゾンは米国でロボット化された倉庫やドローン宅配、無人コンビニのアマゾンGOストアの取り組みも始動している。中国でもロボット宅配や無人コンビニの実験は進んでおり、アマゾンが持つノウハウは中国でも適用可能かもしれない。

「アマゾンは物流やショッピング分野のスマート化において、一歩先を行っているとの考えがある。中国で物を売るだけでなく、より先進的なEコマースサービスの投入をアマゾンは狙っている」とXuは分析する。

ただし、アリババやJD.comらも海外製品を中国消費者らに届け、2社ともにAI領域への投資を活発化させている。クロスボーダー取引の点でもアマゾンは現地企業の後塵を拝している。

さらに、アマゾンの音声アシスタントのアレクサは現地の競合らと戦うためにはまだ改善が必要だ。この分野ではバイドゥのDuerOSやテンセントのXiaoweiアシスタントがアマゾンの先を行っている。米国の消費者らはアレクサを用いて音楽を再生したりオンラインショッピングを行っているが、中国の消費者が求めるタスク(例えば、米の調理など)には対応しておらず、中国のライフスタイルに適応しているとは言い難い。

Kantar RetailのXuは「アマゾンは中国市場参入に向けて、まだ大きな課題を抱えている。彼らは中国に特化したAIサービスを立ち上げる必要がある」と述べた。

編集=上田裕資

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