米国の人口に占める割合が最大になったこの世代がどのように変化していくのかは、小売業界にも大きな影響を及ぼす。ファッション関連のコンサルタント企業、ドネガー・グループは今年8月、米国の男性350人を対象に行った「ファッション」に関する聞き取り調査の結果をまとめた報告書を発表した。
報告書で明らかにされたのは、次のようなことだ。
自分らしさの象徴は「髪型」?
「ファッションとは何だと思うか?」という質問に対し、48%が「自己表現」、33%が「面倒なもの」、16%が「成功に不可欠なもの、またはツール」と答えた。18~29歳の男性には、ファッションを「自己表現」と考える人が多かった。一方、60歳以上の男性の間では「面倒なもの」と見る人が多かった。
男性の過半数(57%)は、自分のファッションは「ベーシック」だと答え、自分を「スタイリッシュ」だと考えている男性は、わずか17%だった。
「誰のスタイルが好きか」という質問は、年齢による大きな違いが見られた。48%が「ジョージ・クルーニー」、27%が「ライアン・ゴズリング」、13%が「ドナルド・トランプ」と回答。18~29歳の男性の間ではゴズリングの人気が高く、中年男性にはクルーニー支持派が目立った。
自分のファッションを表現するものについては、「シャツ」と答えた人が最も多かった。ただ、18~29歳に限ってみると、それとほぼ同じ割合の男性が「髪型」だと答えた。「スーツとネクタイ」と答えた人は少数派だった。
自分のファッションに影響を与える人としては、圧倒的多数を占めた答えが「配偶者または恋人」。次いで多かった回答は、「小売店」だった。ミレニアル世代に限定すると、これら1位と2位の答えの間にほとんど差がなかった。インターネット通販を利用する人が多いとされている世代だけに、非常に意外な結果だったといえる。また、「父親の影響を最も強く受けている」と答えた人が12%いた。
ブランドよりも品質を重視
では、男性たちは、主にどこで買い物をしているのだろうか? 45%は「百貨店」と回答。ただ、18~29歳の場合、そう答えた人は33%だった。全ての世代で見た場合、「ネット通販」を好むと答えた人は45%。18~29歳では、その割合は37%に低下した。
ミレニアル世代の男性たちが欲しいと思うものを、エンターテインメントや食事、その他の楽しめることと同時に提供できれば、実店舗が彼らを再び顧客として取り込むチャンスはあるということだろう。
また、ブランド名は、以前ほど重視されていないことが分かった。「特定のブランドであることを理由により高い金額を払うか」という質問に対しては、「はい」と答えた人はわずか18%だった。男性たちにとってより重要なのは、「素材の品質」と「機能性」の高さだった。
ドネガー・グループの上級副社長は現代の米国人男性について、「仕事、生活、恋愛において一歩先を行ける存在であるため、落ち着いた、そして大らかな人だと見られたいと考えている」と指摘。「年上のどの世代よりも表現力があり、自分を表すことを助けてくれるブランドや小売店などにもこだわりがない」との見方を示している。
ミレニアル世代の男性たちの変化は、彼らの関心を引き、彼らが欲しいと思うものを提供できるブランドにとって、大きなチャンスだといえる。