テスラが待望のEV大型トラック発表へ 「驚異的性能」とマスク

イーロン・マスク(Photo by Stringer/Anadolu Agency/Getty Images)

テスラはEV(電気自動車)のラインナップに新たにトラックを加えることを明らかにした。イーロン・マスクがかねてより言及していたことがいよいよ現実のものとなる。

マスクは9月13日、テスラにとってこれまでで最大にして最高額のEVとなるセミトレーラー・トラックを、来月ロサンゼルス郊外で披露するとツイートした(当初、マスクは9月中の発表を目指していた)。

「10月26日にホーソーンにて、テスラのセミトレーラー・トラックの発表と試乗会を行う。このEVトラックは恐るべきモンスターで、一見の価値がある」と、マスクは1260万人のフォロワーに向けてツイートした。

マスクは1年以上前から大型トラックの開発計画について述べていたが、運搬能力や充電1回あたりの航続距離など、詳細については明かしてこなかった。通常、クラス8の大型トラックは車両総重量36トンまで対応できる。

また、燃料タンクが2つ付いたディーゼル駆動の長距離トラックは、500マイル(約800キロ)を走行することができる。

ロイターは先月、トラックのリース・レンタル大手Ryder Systemの幹部の話として、テスラは300マイル(約480キロ)の航続距離を目指していると報じた。これについて、テスラはコメントを拒否している。

テスラは最近、基本モデルの価格が3万5000ドルの新型EV「モデル3」をリリースした。同社は現在、モデル3をベースとしたクロスオーバーSUVの開発を進めており、2年後に投入する予定だ。また、ネバダ州では50億ドルを投じて世界最大のバッテリー工場「ギガファクトリー」の建設を進めている。

テスラのトラック市場参入は、業界大手にも影響を与えている。商用トラック向けにディーゼルと天然ガスのエンジンを供給しているカミンズは、140kWhのバッテリーパックを装備したクラス7のEVトラックを発表した。同社は、バスや商用トラックの運営会社向けに、2019年より発売を開始する予定だという。

トヨタも燃料電池トラックを開発

また、4月にはトヨタが燃料電池を搭載したクラス8の大型トラックによる実証実験をロサンゼルス港で開始した。同社は販売開始時期を明らかにしていないが、今後は実証実験をカリフォルニア州の他の地域へ拡大するという。ケンワースをベースとしたプロトタイプは670馬力を誇り、車両総重量は36トンまで対応できるという。

大型トラックメーカー、ナビスター・インターナショナルのトロイ・クラークCEOによると、同社ではEVトラックの導入を検討中だが、提携先はまだ決めていないという。

「我々は、EVトラックの登場を大いに歓迎する。今のところは、燃料電池よりもEVに対する関心の方が圧倒的に高い」とクラークはフォーブスのインタビューに答えている。

ロサンゼルス国際空港の近くにあるホーソーンには、テスラのデザインスタジオのほかに、マスクが経営する宇宙開発企業「スペースX」や、彼が最近設立したトンネル掘削機メーカー「The Boring Co.」の本社がある。

中国やEU、カリフォルニア州の規制当局は、自動車やトラックのメーカーに対して無公害車の車種を拡大するよう要請しており、テスラは最適なタイミングでEVトラック市場に参入しようとしている。一方で、同社は大手メーカーや新規参入企業との激しい競争に晒されることになる。

テスラのEVトラックがリリースされれば、まずはテスラストアへの新車納品で活躍することになるだろう。

編集=上田裕資

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