日本のカジノ産業は250億ドル(約2兆7500億円)規模になるとの見方もあるなか、米国のラスベガス・サンズ(LVS)やMGMリゾーツ・インターナショナル、ウィン・リゾーツをはじめとする複数の運営企業が、日本政府からのライセンス取得を目指して競い合っている。
運営許可を取得する可能性が高いとされる候補の一社、LVSのシェルドン・アデルソン会長は、先ごろ日本を訪問。業界や政府の関係者らと会談した。LVSはシンガポールやマカオのコタイ地区でのカジノ開発を成功させた経験があることから、候補としては最有力と見られている。
LVSが日本から期待できる利益は─
LVSが日本でのカジノ運営を認められた場合、日本政府との契約内容にもよるが、30~60%の市場シェアを獲得することになると予想される。ただ、日本政府が国民のカジノへの入場回数に制限を設ける案などを検討中であることから、当面の市場規模は250億ドルを下回る見通しだ。
仮に市場規模が150億ドル程度、LVSのシェアが30~50%となれば、同社は日本市場から年間およそ60億ドルの売上高を見込めるということになる。同社全体の売上高の20%を超える可能性があるということだ。
アデルソン会長は、日本でのカジノリゾート開発に100億ドルを投資する可能性があるとの考えを示している。日本市場はLVSに大きなチャンスをもたらすだろう。5年もかからずに、損益分岐点に達する可能性もある。
シンガポールのカジノ産業
シンガポールでは2005年にカジノが合法化された。そのおよそ5年後には、LVSとリゾート・ワールド・セントーサが統合型リゾートの運営を開始。同国のカジノ産業は、2013年には世界有数の規模にまで成長した。現在の市場シェアは、LVSが70%、セントーサが30%。両社はここ数年、合わせて60億ドル近い年間売上高を記録している。
日本のカジノ実施法とそれに基づく関連規則は、シンガポールと似たようなものになると見込まれている。ギャンブルが社会に与える影響を懸念したシンガポール政府は、国民のカジノ利用を制限するため入場料を徴収するなどの対策を講じている。