Coatesは自身のリンクトインでこの事実を公開したが、フォーブスの取材に対して詳細についての回答は控えた。バイドゥもコメントを拒否している。
バイドゥのAI研究チームから重要メンバーが離脱するのはこれで二人目だ。3月には同研究所を設立した人工知能の権威、アンドリュー・エンがチームを去っていた。
Coatesは2014年にバイドゥに参加する前は、スタンフォード大学で博士研究員を務めており、当時彼を指導したのがアンドリュー・エンだった。Coatesは2015年、MIT Reviewの「35歳未満のイノベーター35人」(35 Innovators Under 35)に選ばれていた。
バイドゥは2014年に米国でAI研究所を開設し、中国のテック企業大手のなかでは最も早くからAI領域の研究を開始した。アンドリュー・エンはグーグルのAIチーム「グーグルブレイン」の設立に関わったほか、教育系スタートアップのCourseraの創業を支援し、ディープラーニングの授業を担当した。その後、エンはバイドゥのAIチームに加わった。
エンの配下でバイドゥのAIチームは1300人以上の従業員を抱えるまでに成長した。その中には先進的な音声認識システムの開発を行うDeep Speechというユニットもあった。Deep Speechからバイドゥの2つの事業部門が生まれた。音声認識デバイスの部門と自動運転テクノロジーの部門だ。
しかし、その後バイドゥのAIリサーチ部門では再編成が進んでいる。エンの離任にともないバイドゥはAI部門をバイスプレジデントのHaifeng Wangの配下に統合すると述べていた。また、エンが会社を離れる数ヶ月前には、元マイクロソフト重役のQi Luを最高執行責任者(COO)として招き入れ、バイドゥのAIチームを強化する任務を与えた。
バイドゥを去ってからのエンは引き続き、AI分野で様々な試みを行っている。8月にエンはDeeplearning.aiというサイトを立ち上げ、そこでディープラーニングのオンライン授業を行っている。また、1億5000万ドルに及ぶ資金を用意し、AIに特化したファンドを立ち上げようとしている。
ディープラーニング領域は急速に発展をとげており、人材の獲得戦争が起こっている。バイドゥを離れたCoatesが、どこに向かうのかは非常に気になるところだ。Coatesのリンクトインのプロフィールは現在、こういう記述になっている。
「ディープラーニング及びAI分野のリーダー。次のステップを模索中。最新情報はここでお知らせします」