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2017.09.16

米ゴミ処理分野で初のユニコーン「ルビコン」CEOの反逆精神

fotorawin / shutterstock.com

米アトランタに本拠を置く「ルビコン・グローバル(Rubicon Global)」(以下ルビコン)は、ゴミ処理分野のテック企業としては初のユニコーンの仲間入りを果たした。

ルビコンはメキシコのプライベートエクイティ「Promecap」から5000万ドル(約55億円)の出資を獲得し、米国のオペレーションを強化。将来的にはメキシコへの進出を目論む。CEOのネイト・モリスによると同社の企業価値は10億ドル以上の評価を得たという。

「ここ1年は厳しい状況だったが、目覚ましい成果をあげられた。国外からの出資を得られたことは、今後の成長へ向けての力強い後押しとなる」

アメリカのゴミ処理業界は、ウェイスト・マネージメント(Waste Management)とリパブリック・サービス(Republic Services)の大手2社の寡占状況にあり、両社の時価総額の合計は700億ドル(約7.7兆円)を超える。

ルビコンはソフトウェアを通じて、運送業者とゴミ処理を頼みたい企業や行政機関をマッチングし、この分野に革新をもたらそうとしている。同社の売上は2016年に3億ドルを突破し、前年度比で3倍の売上増となった。2017年はさらなる売上増を見込むルビコンは現在、5000社の顧客を抱えている。

ルビコンのビジネスモデルは“ゴミ処理版のウーバー”といえる。低コストのゴミの運搬と、定期的な収集サービスを提供している。9年前に設立された同社はこれまで様々な投資家の支援を受け、その中にはセールスフォースCEOのマーク・ベニオフや、ウーバーの創業時のCTOのOscar Salazar、ゴールドマン・サックスやウェリントンマネージメントが含まれる。

ルビコンは今年1月には企業価値8億ドルで、スエズ・エンバイロメントから5000万ドルを調達していた。黒字化に向けて急拡大を遂げたルビコンは同業大手からの厳しい目も向けられており、2件の訴訟問題にも直面した。

競合大手からは強い批判も

その一つが、ルビコンに移籍した社員を、元の勤務先であるウェイスト・コネクションズが訴えた事例だ。訴状では問題の社員が職場を去る前に、社内の機密資料を無断で持ち出したとされていた。ルビコンはその社員との契約を今年7月に終了した。ルビコンはまた、競合企業のコンテナを不正に撤去した件でも訴訟を受けている。モリスによると一連の問題の背後には、大手のゴミ処理企業の巧妙な戦略があるという。

「革新的な事業を行う場合、何らかの反発をくらうのは当然のことだ」とモリスは述べた。
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編集=上田裕資

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