2年前とは激変した競争環境
アップルが世界第2位の中国のスマホ市場で苦戦する理由は他にもある。米国の消費者らはiOSのエコシステムに組み込まれ、端末のみならずコンテンツの消費も行うのに対し、中国人はアップルのOSに対する忠誠度が低い。
その理由の一端は、テンセントのメッセージアプリのWeChatにもある。9億人以上が使うWeChatは中国人の暮らしに欠かせないツールとなり、決済やメッセージのやり取りを行っている。中国人にとって大事なのはWeChatが使えるかどうかであり、それがiOSであるかアンドロイドであるかは問題ではない。
また、アップルは中国政府による検閲の問題にも直面している。昨年、アップルのiBookやiMovieのサービスは中国で突然アクセス不能になった。政府はこの問題に関して明確な回答を行っていない。
しかし、アップルが中国のハイエンドのスマホ市場で支配的ポジションにあることは事実だ。Canalysのデータではアップルは今年上半期に600ドル以上の端末を中国で1460万台出荷し、プレミアム部門のシェアの86%を獲得している。また、中国政府の要求に応じてアップルはVPNアプリをストアから取り下げ、ユーザーデータの保管を中国内のサーバで行っている。
それでもなお、アップルが2015年当時の栄光を中国で取り戻すのはかなり難しい、とCanalysのJia Moは述べた。
「iPhone 6が発売された当時の中国にはまだ、アップルの競合となるような企業が無かった。しかし、中国製の端末は今やハイエンド市場でも十分な存在感を発揮し、消費者の目をアップルから遠ざけようとしている」とMoは続けた。