ビジネス

2017.09.13

時価総額9千億円、業務メッセージ「アトラシアン」が高評価の理由

アトラシアン共同創業者兼CEOのMike Cannon-Brookes(左)とScott Farquhar


世界9万社がアトラシアンのツールを利用

例えば「フォーカスモード」をオンにすれば、一定時間内は全ての通知をミュートにして作業に集中できるなど、カスタマイズ性にも優れている。また、アトラシアンが開発したプロジェクト管理ツール「Jira」もStrideに統合される。

Strideで最も魅力的なのは、ビデオ/音声会議機能がチャット機能の中に埋め込まれていることだ。Redfernによると、チームのメンバーが離れていたとしても、お互いに顔を合わせて業務を行う機会を増やすことが狙いだという。

もう一つ特筆すべきは、「Actions and Decisions」ツールだ。これは、特定のメッセージに「Action」や「Decision」のマークをつけて関連メンバーをタグ付けする機能だ。しかし、Cannon-Brookes は、Strideがアトラシアンの看板プロダクトに育つとは考えていないようだ。

「我々の全てのプロダクトは大きな可能性を秘めているが、Jiraを超えることは難しいだろう。Jiraはまさにモンスターだ」と彼は言う。

Cannon-Brookesは、2002年にScott Farquharと共同でアトラシアンを創業した。彼は、今後はタスク管理ソフトウェアが統合コミュニケーションツールと一体化すると考えてStrideを開発したという。

「スカイプのようなビデオ会議ツールがメッセージング機能を追加したり、メッセージングアプリがビデオ会議機能を追加しているが、今後はあらゆる機能が統合されるだろう」とCannon-Brookesは話す。

アマゾンはSlackに約1兆円で買収提案

現在、世界で9万もの企業がアトラシアンのツールを利用している。同社はまだ利益を出していないが、売上高は4Qに37%伸びた。株価はこの1年で約40%上昇し、時価総額は80億ドル(約8800億円)が目前に迫っている。

ライバルのSlackについては最近、アマゾンが90億ドル(約9860億円)で買収を検討しているとの報道が出ており、業務メッセージングツールの分野は競争が加熱気味だ。Cannon-Brookesに「Strideが多くの機能を実装し過ぎていないか」と質問すると鼻で笑い、次のように答えた。

「これがアトラシアンの流儀だ。我々にはライバルが多く、競合製品を大きく上回る機能を実現しなければ勝ち残れない。我々は15年間この考え方でやってきており、今後も変わることはない」

編集=上田裕資

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