iPhone Xの「最大の懸念」 顔認証は写真と人を区別できるのか?

(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

ここ数日、サムスンのGalaxy Note 8の顔認証システムのお粗末ぶりが話題だ。Galaxy Note 8では、端末にユーザーの顔写真を見せても本人と認証されるため使い物にならないというのだ。筆者も試してみたが、確かに顔写真で認証を突破できてしまった。

ただし、サムスンはNote 8にさらに精度の高い虹彩認証機能を搭載しており、セキュリティを気にする人はこちらを使えばいいだろう。

ここで気になるのは、間もなく発表されるiPhone Xで同じ問題が起きないのかという疑問だ。アップルはセキュリティを非常に重視する企業として知られており、顔写真程度で突破できる認証システムであれば信頼を損なうことになる。特に企業向け需要には大きなダメージを与えることになるだろう。

サムスンの顔認証システムのまずさに対する、マイクロソフトからの回答がWindows 10搭載パソコンで利用可能な「Windows Hello」の生体認証だ。Helloはたとえ一卵性双生児の二人組であってもその違いを見抜くほど正確だ。

Helloでは赤外線カメラが顔の情報を3Dデータとして取得し、顔の各パーツ間の距離を極めて正確に把握しているため、双子でもその違いを見抜ける。3Dデータを用いるため、写真でセキュリティを突破することは不可能だ。マイクロソフトによると他人の顔データで認証を突破できる確立は0.001%まで抑えられているという。

アップルに期待される顔認証の精度も、これと同レベルのものだ。リーク情報からもアップルがHelloと同レベルの顔認証システムを用いることが確実視されている。個人的にはiPhone XがタッチID機能を搭載しないことは非常に残念だが、精度が高く迅速に操作できる顔認証システムが搭載されるのであれば問題はないだろう。

今回のiPhone Xでアップルは、スクリーン内部に指紋スキャナーを埋め込むことを断念したと見られている。しかし、アップルはガラスや金属パーツの内部からでも指紋データの取得が可能な超音波を用いた指紋センサーの開発を今も継続中で、このセンサーは従来よりも精度が高く、手が濡れていても認証が可能という。

つまり、今回のiPhone XにタッチIDの搭載が見送られたとしても、次に登場する端末では再びタッチIDの復活が期待できるのだ。

編集=上田裕資

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