ペックCEOは、GAPが流行やデザイン、品質のレベルといった点に大きな問題を抱えていることを認めている。これらが原因で、商品が消費者に受け入れられなくなっているという。そして、これは主にGAPが、ファッションに対するより大胆なアイデアを受け入れたがらない体質であることが背景にあるという。
同CEOは、「クリエイティブに関する失敗からの脱却に、長い時間がかかっている」と語る。
GAPが長年にわたり苦戦する理由として、(小売業界を専門とするジャーナリストの)筆者は、「大人向けガラニマル」問題を指摘したい(ガラニマルはセットで販売される子供服。コーディネートを考える必要がなく、子供でも簡単に上下の組み合わせを選べる)。
ベーシックなデザインばかり、トップスもボトムスもソリッドカラーで無地のアイテムばかり。さらに、ニュートラルであることを重視しすぎで、生地の柄や模様、面白さといった面を軽視しすぎている。GAPを最大の危機にさらしているのは、「安全すぎる」ファッションだ。
ただし、こうした一連の問題はさておき、GAPが小売業界に与えた文化的な影響力は否定できない。1970年代に成長した同ブランドは、ユニセックスのスタイルを提案。それは、米国のカジュアルファッションの青写真となったリーバイスが生んだスタイルに根差したものだった。
それから50年近くがたった今、ブランドの再生を目指した経営トップの交代を何度も繰り返してきたGAPは、「旗艦ブランド」の地位を傘下のオールドネイビー、そしてアスレタに引き渡すべき時がきたことに、不本意ながらも同意したものと見られる。