全ての映像作家を「VR表現に向かわせる」 インテル担当者の奮闘

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インテルはVRの将来に大きな可能性を見出している。オキュラスやHTC ViveのようなハイスペックのVRデバイスも大事だが、「VRの発展にはコンテンツが欠かせない」とインテルのVRマーケティング戦略を担うリサ・ワッツは言う。

「毎日のように新たなVRコンテンツが登場するが、クオリティは様々だ。我々が求めているのはクリエイティブ業界全体を変えるようなコンテンツだ」

ワッツはハイクオリティなコンテンツの創出を目指し、クリエイターを支援する動きを開始した。映像業界の関係者もVRに関心を抱いてはいるが、どこから手をつけて良いか分からないという声も聞く。

「360度動画にしても現状ではまだ制約が多く、完全にインタラクティブとは言えない。仮想空間の真ん中に立っているような気分が味わえたとしても、映像の中の物体を手で拾い上げられるわけではない。でも、ここで重要なのはVRを楽しむ消費者が何を求めているかを理解することだ」

ワッツらはクリエイターらにVRデバイスを提供するだけでなく、インテルのVRスタジオの活動を通じ、コンテンツがどのように受けとめられるかを知る機会を与えている。

その一例としてあげられるのが、映像作家のEliza McNittとの取り組みだ。二人が出会った頃、McNittは宇宙をテーマにした360度ビデオ作品「Fistful of Stars」の仕上げにかかっていた。

インテルは今年のCESの会場でこの作品の試写会を開き、サウス・バイ・サウスウエストでの上映会をサポートした。二人がアイデアを出し合った次回作の「Pale Blue Dot」では、さらにインタラクティブな表現を目指している。

製作の初期段階からワッツの助言を得つつ作品を撮ることは、大きな違いを生むことになりそうだとMcNittは話す。

「新作の製作はオキュラスリフトでの視聴を想定して進めている。例えば最新のタッチコントローラーがどのような動作をするものなのか、市場に投入される前のデバイスを試しながら製作が行える。VR映像を撮る上でテクノロジーを理解することは非常に重要だ」

インテルのチームとの連携によりMcNittは、VRにふさわしいストーリーテリングの在り方を知り、仮想空間に人々を没入させる方法を学んだ。新作の「Pale Blue Dot」は5つのエピソードで構成され、来春の公開を予定している。年内には製作の模様を収めたデモ版の上映を行う。

ワッツは彼女の努力がクリエイターたちを刺激し、今後も質の高いコンテンツがVRの世界にもたらされることを望んでいる。

「様々な試行錯誤を重ねて、映像作品は生み出される。クリエイターたちとの共同作業を通じて人々にインスピレーションを与え、VR作品の可能性を広げていきたい。これまでの経験から、VRは全てのクリエイターたちに新たな表現の機会を与える場になると感じている。私たちはその可能性を切り拓いていきたい」とワッツは語った。

編集=上田裕資

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