フランスの世論調査大手数社によると、ナポレオン以降にフランスを率いた人物としては最年少となるマクロン大統領の支持率は、5月大統領選後の64%から8月には36%に急落。また、調査会社ハリス・インタラクティブの世論調査からは、大統領の政治手腕に信頼を寄せる仏国民は46%で、6月中旬のピーク時から13ポイント低下したことが分かった。
仏国民の間で、極右の選挙勝利をかろうじて逃れた安心感と喜びが次第に薄れ、政権に対する懐疑的な見方が戻ったのだろう。マクロンには、政策と個人の双方の面で評価が下されている。
手痛い失敗
仏国民は、軍トップの辞任に発展したマクロンの国防予算削減方針や、金融危機ピーク時よりもさらに厳しい緊縮政策の提案について思案中だ。また、企業が今より簡単に労働者を雇用・解雇できるようにする労働法改革と住居手当の削減も議論の的となっている。
歴代仏大統領の大半は就任後に寛大な支出を行うため、左派がマクロンの緊縮政策にすでに否定的な反応を見せていることも当然と言える。社会党のフランソワ・オランド前大統領も先日、仏テレビ局BFMに対し「役に立たない犠牲をフランス国民に強いることがあってはならない」と苦言を呈した。
若さゆえの経験不足の問題もある。マクロン自身のみならず、閣僚の4分の3も政治経験のない人物だ。こうした状況で、議会民主主義の仕組みに関する十分な理解や訓練を怠れば、米政権の二の舞となる。
マクロン個人に対しては、メーキャップ代に3万ドル(約330万円)超を支出していたことが報じられ、否定的なコメントがソーシャルメディアにあふれた。また、妻のブリジットに政府内で正式な有給ポジションを与える提案も撤回された。