導入は実現可能?
ただ、これらに必要な財源はどのように準備すればいいだろうか? ピサリデス卿とダイアモンド教授はいずれも、高額所得に対する高率の課税を提唱している。そして、具体的な方法については意見が異なるものの、どちらも財産税の導入を挙げている。
ダイアモンド教授は相続税・遺産税による税収を財源とすることを強く支持。一方のピサリデス卿は住宅の売却益などを含む、財産の取引から得た利益に課税するキャピタルゲイン税を提案する。
さらに、財産税の導入をこの2人以上に強く推しているのは、恐らく同じノーベル経済学賞の受賞者のジェームズ・ヘックマン教授だろう。不平等に関する議論の中で、課税対象を労働所得ではなく資本所得に移行させるべきだと主張している。
歴史の大半において、労働は資本よりも豊富だった。そのため労働所得の方により高率で課税することには筋が通っていた。しかし、世界が高齢化し、労働所得が資本所得を下回り始める中で道理にかなっているのは、少なくともこれらに同程度の水準で課税することかもしれない。