現在、ジェリー・ヤンはAME Cloud Venturesを率い、アリババやレノボ、滴滴出行(Didi Chuxing)といった企業を支援している。ここ最近、米国のベンチャーキャピタル業界で盛んに話し合われているテーマの一つが、次のアリババがどの企業になるかという話だ。
近年は中国のテクノロジー企業が米国に新たなイノベーションを持ち込む動きも活性化した。特にデジタルエンタテインメントの領域では、中国がアメリカの先を行くケースも多い。
先日開催されたDCMサミットの会場で、中国の動画サイト「YouKu(优酷)」の創業者、Victor Kooは中国のミレニアル世代がいかに先進的なモバイル決済の仕組みを用いているかを話した。Kooは2010年にYouKuを米ナスダックに上場させ、2012年には競合の動画サイト「Tudou(土豆)」を傘下に収めた後、2016年にアリババにTudouを推定37億ドル(約4000億円)で売却した。
Kooは現在もTudouの会長兼CEOを務めつつ、自身の投資会社「Heyi Ventures」を通じて次世代のウェブサービスに投資を行っている。
DCMのパートナーでマイクロブログプラットフォームの「Sina(新浪)」の共同創業者のHurst Linは、爆発的スピードで進化する中国のSNSの現在について語った。動画共有SNSの「Kuaishou(快手)」は3億5000万ドル(約380億円)をテンセントやバイドゥ、DCMやセコイア・チャイナから調達。今や、中国でWeChatに次いで最も利用されるアプリとなり、米国でのIPOを視野に入れている。
DCMが資金を注ぐ中国系企業としては他に、元テンセントの重役だったBrad BaoとToby Sunらが立ち上げた自転車シェアアプリの「LimeBike」がある。
米カリフォルニア州で事業を開始したLimeBikeは今年3月にアンドリーセン・ホロウィッツが主導する資金調達ラウンドで1200万ドルを調達し、GPS機能つきの自転車を米国の各地に投入し始めた。
LimeBikeの試みは中国で始まったイノベーションが米国進出を果たした一例にあげられる。今後数年でさらにこの流れが加速していくことが予測される。