「シャンパン通」になるための5つの知識

フランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインだけが、「シャンパン」と呼ばれる。


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収穫直前のピノ・ノワール (2017年9月、シャンパーニュ地方にて撮影)」

4.パリから近い、世界遺産のシャンパーニュ地方

2015年、シャンパーニュ地方の丘陵と、一部のメゾンおよびセラーが世界遺産に登録された。美しい景観に加えて、シャンパーニュ地方の中心都市・ランス(Reims)の街の地下に広がる、「クレイエール」と呼ばれる石灰質のセラーは見ものである。

美味しいワインがあるところに美味しい食事あり。シャンパーニュ地方も例外ではなく、ミシュランの星がついたレストラン、「L’Assiette Champenoise」(3つ星)、「Les Crayères」(2つ星)、日本人シェフの「Racine」(1つ星)をはじめ、数々のビストロやブラッスリー、ワインバーがある。そして現地で飲むシャンパンは格別だ。

パリからランスの街までは、高速列車TGVで、直行だと45分程度で到着する。ランスやエペルネの街には、大手メゾンが、一般向けにセラー見学や試飲をおこなっている。パリから日帰りで、シャンパン片手にランチを楽しんで、1〜2つメゾンを訪問することもできる。観光地としてもお勧めだ。

5.泡のワインに特化した産地が生む多様性

わたしが考える、シャンパンの大きな魅力の一つが、多様性だ。多少のスティルワインも作られているが、シャンパーニュ地方で作られる大多数が泡のワイン。土地の個性も様々、ベースとなるワインの醸造方法も様々。

パーティーなどでは、ある程度のボトル数が必要となり、安定した品質の大手メゾンのシャンパンが、場に華を添える。また、大手メゾンの「プレスティージュ・キュヴェ」は、各メゾンがアクセスできる最高品質のブドウからできたワインから作られる、非常に手の込んだ逸品。値は張るが、極上の味わいを堪能できる。

最近では、小規模生産者を中心に、個性的なシャンパンが数多くつくられている。栽培方法を重視したり、醸造方法にこだわったり。単一ブドウ品種・単一畑・単一年のワインから作り、「ブドウが育つ土地の個性」を表現しようとしているシャンパンも増えている。

美味しいワインは美味しいブドウからできる。畑仕事に力を入れ、持続可能なブドウ栽培方法──有機栽培やビオディナミ農法を実践する作り手も増えてきた。この厳しい気候条件で、こういった農法を取り入れるのは簡単なことではなく、作り手の強い意志とこだわりがなければできない。

時代とともに変化し、様々なスタイルが生まれているシャンパン。「シャンパン」という名に甘んじた、低品質の商品も存在するが、作り手に注意して選べば、シャンパンにハズレは少ない。日本では実に多様な種類が手に入る。毎日、シャンパンだけを飲んでいても飽きることがないくらいだ。

次回は、シャンパンをさらに美味しく味わうための、シャンパンの製造にまつわる知識を紹介したい。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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Text by Yuri Shima Edit by Momiji Tobimatsu

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