この提携は両社にウィンウィンの結果をもたらす話であるとされている。アレクサはWindows 10搭載のデスクトップPCやラップトップへのアクセスを得ることになる。コルタナ側はアマゾンの音声スピーカーへのアクセスを得られる。
今回の提携に際しアマゾンのジェフ・ベゾスは同社のアレクサが将来的には、アップルのSiriや、グーグルのグーグルアシスタントと会話する未来も考えていると述べた。しかし、具体的な交渉はまだ進んでいないという。
アップルは同社の音声アシスタントスピーカー、「Homepod」を今年後半にリリースの予定だが、Siriを他社製品と連携させる考えはないという。全てのデータを自社に取り込みたいと願うグーグルには、また別の考えがあるようだ。
アマゾンとマイクロソフトが提携を発表した同じ日に、グーグルは同社の音声アシスタントがソニーやパナソニック、オンキヨー等のブルートゥーススピーカーでも利用可能になるとアナウンスした。
ソニーはただちに、アップルのHomepodのほぼ半額のAIスピーカーの発売を宣言した。ソニーのデバイスはグーグルアシスタントを通じ、LGやGEらが発売する家電製品との連携が可能になる。
音声アシスタント分野への注目が高まるなかで、ニュースメディア「Wired」はこのテクノロジーがもたらす、悪夢のような未来に言及した。職場から疲れきって帰宅すると、アレクサのスピーカーがアマゾンプライムで始まった新しいTV番組について話はじめ、冷蔵庫のミルクが残り少ないから、ホールフーズで買うように呼びかける。
その横から、グーグルの音声アシスタントが、本日の注目ニュース20本の読み上げを開始し、洗濯物が出来上がっていることや、ユーチューブの人気動画を知らせようとする。それらの情報を全て聞いた後、ラップトップを開くとコルタナが同じ情報をまた一から全部、あなたに教えようとするのだ。
これが現実になるとしたら悪夢と呼ぶしかないだろう。しかし、テック業界の大手はユーザーの時間を奪うことに必死だし、それは既にスマホへのテキストメッセージでの通知で行われている。音声アシスタントが同じことをやろうとするのは、自然な流れなのだ。
テクノロジー業界は一致団結して、ユーザーに音声で呼びかける試みを開始した。これは考えようによっては、旧約聖書に描かれた「バベルの塔」の逸話を想起させる。ノアの大洪水ののち、同じ言葉を話すノアの子孫らは力を合わせ、天に届くほどの高い塔を作ろうとした。しかし、人々の傲慢さに怒った神は、言語を混乱させ、人々を各地に散らして塔の完成を妨げた。バベルとはヘブライ語で「混乱」を意味する言葉だ。
バベルの塔という言葉は、人間の傲慢さに対する戒めや、実現不可能な計画を意味するものとして用いられている。