NYに「砂糖の山」を出現させた菓子メーカーが伝えたかったこと

Courtesy of KIND


現実世界でデータを可視化

データをデジタル形式で可視化することはよく議論される。しかし、砂糖の山と砂糖でできた子どもの像を展示するこの発想は、それを現実世界で素晴らしくやってのけた。私にとってこの展示は、「砂糖問題」を新たなより深い視点へと置き換えたものだった。

実はそこには、カインド商品に関するメッセージが隠れていたのだが、砂糖のメッセージの中に埋もれてしまっていたので私は気づかなかった。報道発表によると、カインドはフルーツを使用したスナック菓子としては同社初の「KIND Fruit Bites(カインド・フルーツ・バイツ)」シリーズを発売した。同シリーズはフルーツのみを使用し、砂糖は添加されていない。

しかし、展示の最終目的であったはずの同商品につながる手がかりは、看板に書かれた「下記ウェブサイトで詳細を確認」という文言だけだった。私に言わせれば、これは非常に分かりにくい。さらにまずいことに、看板に書かれていた同社のウェブサイトを実際見てみると、砂糖の山との視覚的なつながりがないのだ。

ウェブサイトの広告文には確かに「砂糖の添加なし」と書かれているものの、特にイベントが終了してしまった今となっては、もう少し視覚的に展示と連携が取れていれば分かりやすかったのではないかと思う。しかし、これは細かいことだ。

たとえ人々が商品メッセージを理解できなかったとしても、この展示がカインド社のものであることを知れば、ブランドイメージは向上するだろう。さらに、この物理的なモニュメントは、ニューヨークの人の注意を良い意味で引いていた。砂糖の山をソーシャルメディアで共有する人もおり、カインドの広告媒体となった。



米ビジネス誌ファスト・カンパニーや米紙USAトゥデー、米広告専門誌アドウィークなどのメディアにも、この展示に関する記事が掲載された。展示が示した衝撃の事実だけでなく、その事実を創造的な形で表現したことが注目の理由だ。

カインドには「よくやった」と言いたい。私の砂糖に対する認識も完全に変わった。

編集=遠藤宗生

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