中国テンセントらが100億円出資の「空飛ぶタクシー」Liliumの野望

KAE CH / shutterstock.com

ドイツのスタートアップ企業「Lilium Aviation」は世界初の、垂直離着陸が可能な小型電動飛行機のテスト飛行を成功させた。Liliumが生み出した飛行機はヘリコプターよりも小型で騒音の少ない “空飛ぶタクシー”的サービスの実現を目指している。

Liliumは今年4月、ドイツのミュンヘン郊外で5人乗りの電動飛行機のテスト飛行を成功させ、このほど9000万ドル(約98億円)の資金調達を実施した。調達資金でさらなる研究開発を進め、可能な限り早期に実用化を目指すという。

Liliumの資金調達額は累計で1億ドル(約109億円)を突破した。今回の資金調達には中国のテンセントや、英国のベンチャーキャピタルのAtomico、ツイッターの共同創業者のエヴァン・ウィリアムズらが設立したObvious Venturesも参加した。

ミュンヘン本拠のLiliumは今年4月、二人乗りの「Eagle」が垂直に離陸し、小型ジェットのようにスムーズに飛行する動画を公開した。共同創業者のMatthias Meinerは、2019年までに5人乗りの機体の有人飛行を実施する計画だと、今年4月のフォーブスの取材で述べていた。

現在70名の従業員を抱えるLiliumは今後、さらに人材を増強する。8月に同社はオンデマンド配車サービスGettの主要役員だったRemo Gerberを招き入れ、マーケティング部長に任命した。また、エアバスとロールスロイスでエンジニアを務めたDirk Gebserを製造部門の主任として採用している。

Liliumは一回の充電で300キロメートルの飛行が可能な機体の完成を目指している。小型で静音性に優れていることから、従来のヘリコプターが飛行できない都市部での運用を念頭に置いている。「騒音レベルは既存のオートバイ程度まで軽減できるはずだ」とMeinerは述べた。

この分野ではグーグルの持株会社アルファベットCEOのラリー・ペイジも、垂直離着陸が可能な電動飛行機を開発するZee.Aeroに、個人で約1億ドルを出資したと伝えられている。ウーバーも今年4月のElevate Summitの場で「空飛ぶ車のネットワーク」のテストを2020年までに行い、2023年までの実用化を目指すと宣言していた。

Liliumの機体はリチウムイオン電池で駆動し、ウーバーやリフトと同様なオンデマンド形式での利用を想定している。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事