毎日無料配布される雑誌、オフィシャルスポンサーの名が入った車、アパルトマンに掲げられた巨大バナーなど……カンヌ駅からマーケット会場、真夏の太陽が降り注ぐビーチまで。現地で撮影した“カンヌらしさ”を紹介する。
今年、マーケットで最も大きなブースを構えていた国はイタリア。高級ホテル「マジェスティック」の一角を借り切っていた。他にも、コロンビア、ウクライナ、グルジアなど、映画産業のイメージと結びつきにくい小さな国々も、ロケ誘致に余念がない。
フィルム・マーケットに出入りするバイヤーたち。セラーとのアポで訪れることもあれば、情報を求め向かうことも。
カンヌ映画祭のプレスパスは、媒体の影響力などから色分けされる。上映に並ぶ時間は、持っている色によって異なる非情な世界だ。
映画祭期間中、連日専門誌や女性誌の特別版が発行され、レッドカーペットの様子や作品評を掲載。「一体いつ印刷しているの?」というスピード感もカンヌならでは。パレの前では、「グラツィア」を配る女性たちが一際目を引く。
「スクリーン」「ヴァラエティ」「ハリウッド・リポーター」……。こちらも特別版を連日発行するという驚異のスピード。
映画専門誌「エクラン・トタル」では、フランス映画一作品ごとの予算がすべて公開されている。
「招待状譲ってください」の文字を掲げる人々の姿は、カンヌおなじみの光景だ。夜の公式上映では正装がマストのため、招待状を求める男性は、手に入り次第上映に向かえるよう、あらかじめタキシードで。
マーケット試写やプレス試写が行われるカンヌ市内の映画館「オランピア」。パレと何度も行き来することも。
カンヌのオフィシャルカーはすべてルノー車。1983年以来、オフィシャルパートナーを務めている。また、エールフランスは1980年からのオフィシャルパートナーで、映画祭との強い結びつきが至るところで目に留まる。他には「ネスプレッソ」もオフィシャルパートナーのひとつ。パレにも無料のカウンターがあり、連日映画関係者が殺到した。
港に停泊するプライベートクルーザーでは夜な夜なパーティーが行われる。見たことのないような豪華クルーザーも。
カンヌ映画祭は基本的には、映画関係者およびメディア向けの映画祭だが、夜の9時半から浜辺で上映を行う「シネマ・ド・ラ・プラージュ」は、一般の人々も無料で鑑賞できる。その年の審査員の過去の作品などが上映される。