Close RECOMMEND

国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル


現在のウラジオストク市民からすると、日本は近くて遠い国。それだけに、日本で欧米文化の洗練された部分が入ってくるように、日本文化の優れたものだけが入る傾向がある。その最新版としてマンガやコスプレも入っており、かなりのファン層を形成しているという。コスプレイベントも、市内最大のコンサートホールで毎年行われている。

日本語学習者や日本語スピーカーがロシアの他の都市よりも多いことも広く知られている。ウラジオストクはロシアにおける東アジア研究の中心地であり、多くの研究者が育成されたためだ。冷戦時代のインテリジェンス養成の必要もあっただろう。

e
『リボンの騎士』や『不老姉弟』以外に、台湾の『DIVINE MELODY』や韓国の『IZLOM』も含めて「マンガ」とされる(宮本智撮影)

今年に入って、ウラジオストクを訪れる日本人渡航者が急増中だ。例年ビジネス関係者らなど年間5000人程度だったものが、今年上半期(1月~6月)すでに7000人を超え、年間で2万人を超えそうな勢いだ。

背景には、今年8月にロシアが実施したビザ緩和がある。ネット申請による空港でのアライバルビザ取得(8日間滞在)が可能となったのだが、それを踏まえ、4月末から成田─ウラジオストク便は毎日、関空からも週2便の定期運航が始まった。新潟や福岡などの地方空港からのチャーター便も増えている。

「日本にいちばん近いヨーロッパ」というのがこの町のキャッチフレーズであるように、成田からのフライト時間わずか90分。近隣のアジア諸国とはまったく異なるヨーロッパの町並みが広がるという驚きは、世界中をもう行き尽くしたという旅慣れた日本人にとっても、海外旅行先として大いに魅かれるものがあるようだ。 

今日のウラジオストクは、中国や韓国、北朝鮮、モンゴルなどの周辺国から来た人々のみならず、中央アジアなど旧ソ連圏から来た労働者も多く、北東アジアの混沌とした現在を象徴する国際都市となっている。この地域の多様性を理解するうえで欠かせない重要な町といえるだろう。

文=中村正人

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ