キャリア・教育

2017.10.16 08:00

一流経営者の人脈力 コツは「肩書を脱ぎ捨てること」

Indypendenz /Shutterstock.com


谷本:自分の肩書や専門分野にとらわれない「教養」が必要と聞きますが、どんな風に身につければいいのでしょうか。
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安渕:私は学生時代に触れた歌舞伎や文楽が大変好きになり、本を読んで研究したり、歌舞伎役者に会ったり、入門講座を受けたりするようになりました。歌舞伎や文楽を通じて日本の歴史も学びました。歌舞伎役者を描いていたのは浮世絵師ですが、浮世絵はフランスに伝わって、モネなどにこよなく愛された。こんな話が、日本とフランスのつながりのネタになります。

人脈はギブ&ギブから生まれる

谷本:安渕さんはどうやって人脈を築かれましたか。
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安渕:人脈はギブ&ギブからしか作れません。まずは自分が相手を好きになり、相手にとってどんな役に立てるのか考えます。何かの集まりで「この仲間でまた会えたらいいね」ということになったら、自分がその機会を作ります。「あの人のまわりにいると人脈が広がっていく」と思ってもらうためには、徹底的にギブするしかありません。ギブ&テイクと思っていると「見返りを求められそう」と思われて人脈はできません。

谷本:公私の垣根なく人脈を構築するほうが上手くいきますか?

安渕:どこで誰のお世話になるかわかりませんから、会社や肩書きを超えて、自分がいいと思った人と徹底的につきあいます。ビジネスと関係ない人が自分のビジネスに貢献してくれるということは当然あります。

谷本:メンターや頼りにされている人はいらっしゃいますか。

安渕:一人のメンターではなく、流行りのIT企業にいる30代の人、40代の起業家で天才プログラマーなどと定期的に話をしています。メンターは今、全員自分より若い人です。



私は、50歳を過ぎたら若い人をメンターに持つといいと思っています。20代後半のITに強い人に一日仕事を見てもらったことがありますが、社長がメールにすぐ答えると会社全体がスピードアップするとアドバイスされました。IT経営者や若い友人からのメールになるべくすぐに返事をしますが、あっという間にいろいろなことが決まりますね。即時感やスピード感を学んで納得しました。異なるものに触れてみる、違ったタイプの人から教わるという姿勢が必要だと思います。

谷本:そうした人たちと知り合うには、どのようにすればいいでしょうか。

安渕:肩書きを脱ぎ捨てて、フラットな関係になれることが大切です。誰でも自分より何かを知っていると思えば、誰からでも何かを学べます。

例えば、会社の若手社員に「社外の面白い人に会わせて」と言ってみる。それはリトマス試験紙のようなもので、会わせてくれないようであれば自分はまだまだフラット度が足りないのだなと思います。「面白い人がいるので食事でも」ということになれば、ブレインストーミングのように、人の言うことを否定しないようにします。「そんなことあるわけないだろう」と言うのと「想像もつかなかった」と言うのでは、その後の会話も違ってきます。

谷本:最後にグローバルで勝てる企業を目指されている、特に経営に携わる方へメッセージをお願いします。

安渕:経営者の皆さんは、それぞれ信念があって会社の経営されていることと思います。こうしてメッセージを伝えることと矛盾しているかもしれませんが、本で読んだり、講演で聞いたりしたことを、鵜呑みにして、決してそのままやらないでください。まずは自分の中で一度消化し、いいと思ったら、ぜひ明日から行動を変えていただけたらと思います。それがグローバルで勝つ経営者になる一歩かと思います。


安渕聖司◎世界200以上の国・地域約4千万以上の店舗で利用、ペイメントテクノロジーのリーディングカンパニー「Visa」の日本法人代表。早大政経学部、ハーバードビジネススクールMBA,三菱商事、日本GE代表取締役、GEキャピタル社長兼CEO等を経て、本年4月より現職。

編集=フォーブス ジャパン編集部

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