TVの未来は有機ELではなく「QLED」が握る 米アナリスト予測

Piotr Adamowicz / shutterstock

家電業界の専門家によると、テレビ用ディスプレイの未来は、有機EL(OLED)ではなくQLEDにあるという。韓国のLGらは今後、大型の有機ELパネルの生産台数の確保に苦しみ、低価格化の実現も難しいという。

QLEDとは「QD (量子ドット:Quantum Dot)」の技術を採用したディスプレイのこと。先日、ロサンゼルスで開催された「QLED And HDR10サミット」で調査企業DSCCの創業者でCEOのロス・ヤングはQLEDテレビの未来と、価格変動の見通しについて語った。

ヤングによると有機EL採用のテレビ向けディスプレイの生産台数は2021年までの間、従来のLCD(液晶)ディスプレイの台数を超えられないという。一方でQLEDテレビの出荷台数は2016年から2021年にかけて年平均成長率90%で増加し、1億台を突破し市場シェアの34%を占めるようになるという。

さらに、DSCCの分析によると現状の技術的問題点を克服し製造コストが低減されたなら、QLEDのシェアは2021年までにLCDテレビパネル市場に匹敵する規模になるという。

一方で有機ELテレビパネルの出荷台数の伸びは2021年まで、年平均成長率49%にとどまるという。

DSCCがここ数年の有機ELの苦戦を予測するのは、現状の有機ELテレビパネルの製造ラインの多くが旧世代のものだからだ。最新の10.5世代(10.5G)規格対応のQLEDの製造ラインは、有機ELの製造ラインの約2年先を行っているとDSCCは見込んでいる。

65インチや75インチの大画面ディスプレイの製造を行う10.5世代の製造ラインは、今後数年のテレビ向けパネル市場の行方を左右する。10.5世代のラインは1枚のガラスパネルから8つの65インチスクリーンが製造できるのに対し、旧世代の8.5世代のラインでは3枚しか製造できない。

DSCCは、有機ELテレビパネルの製造工場は2019年まで十分な利益を生み出せないと予測する。一方でQLEDパネルの製造現場では、急激に生産台数を伸ばすことが可能で、結果的に製造コストを下げられると予測する。

結論としてDSCCは、テレビ向けパネル市場の今後は省電力性に優れ、輝度が高く幅広い視聴確度に対応するQLEDディスプレイが握ると見ている。

編集=上田裕資

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