この高い安全性は、アメリカでも賞賛を博している。同国ではクロストレックという名称で販売されているが、その感動的な衝撃安全性とアイサイトの安全技術が評価され、自動車アセスメントである米国道路安全保険協会(IIHS)の「最高安全賞」にも輝いた。
では、運転の感触はどうだろう? これまで以上にエッジの利いたゴツい外観のXVはサブフレームも堅固、改良させたサスペンションはどの路面でも対応できる乗り心地で、路面の凹凸も上手に吸収するゆとりがある。ステアリングはこれまでよりクィックで、ハンドルの手応えは軽いままだ。路面からのフィードバックはそんなにないが、それを気にするドライバーは多くはないだろう。
僕がお薦めしたいのは、改良された2Lの水平対抗エンジンの仕様だ。1.6Lもあるが、パワーが足りないので運転を楽しみたい人にはもの足りないだろう。2Lの方は従来の148馬力からわずかにあがって152馬力、トルクは変わらず最高で196Nmだ。スロットルの動きの再調整で、これまでのペダルがギクシャクするという不満は解消できた。
エンジンは、やはり少なくともあと20%パワーが増してもいいはずだが、パワー配分は最高回転数までスムースに加速できるようになった。ただ、首に衝撃を感じるような加速を期待してはいけない。これは速いクルマではないのだ。
非常に効率のいい4輪駆動システムにパワーを送るCVTには、人工的な7速変速機がついている。今回のCVTでは、従来のギアシフトに似せてラバーバンドを引っ張るような感触を低減しようと試みている。
最高回転数に近づくとCVTはウィーンという音を立てるが、その7速のCVTが中速トルクでのエンジン回転をベストに保ち、パワーが不足気味のエンジンを補っている。燃費は1Lで16kmとスバルにしてはかなりいい方だ。価格は267万円からということで、中型SUVの中ではリーズナブル。
多少パワー不足なのは許すとしよう。競争の厳しいコンパクト・クロスオーバーという市場で新XVが優勢なのは、乗り心地、オフロードでの実力と手頃な価格という魅力と、そして何より業界を牽引する世界一の安全技術を備えているのだから。
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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