ゴルフスイングと「本質を見抜く力」

デビッド・レッドベターの練習風景

初めまして。レッドベターゴルフアカデミーJAPAN代表の石田昭啓と申します。 世界のトッププロを指導するゴルフインストラクター、デビッド・レッドベターが主催するゴルフアカデミーの日本校でインストラクターの責任者を務めております。

この記事を読まれている方のほとんどはゴルフをなさるでしょう。

どうすれば上手く打てるのか?
どうしたら安定するのか?

多くの方がこういったスイングの技術的な点を改善したいと思っています。 しかし、なかなか上手くならないのがゴルフというスポーツの難しい面です。

私はレッドベターに師事して18年が経過しました。 これから、私が彼から学んだことに関して、ゴルフの好きな皆さんに楽しんでいただき、なおかつゴルフ上達に役立つように、少しずつお話しさせていただきます。

レッドベターの最も優れている点、私が彼から学んだ一番のことは、「スイングの本質を見抜く力」です。

ゴルフスイングの目的

ゴルフスイングの目的とは、常に同じ動作を繰り返して、同じ質のショットを打てるようになることです。

例えば5番アイアンを持ったとき、クラブフェース上でボールをとらえるエリアは、わずか64ミリほど。このクラブで直径わずか442.67ミリのボールを打たなくてはなりません。 重さ約400gのクラブは、テークバックからフィニッシュまでに要する約1.6秒間に約45kgもの動態荷重を生み出します。 そのクラブを約5.47mの弧を描く中で、時速約145キロの速さで振らなければならないのです。 ボールがクラブフェース上にとどまっている時間は、わずか1/2000秒にすぎず、正しい方向で望むべく飛距離を出すには、ボールは42度の角度で飛び出さなくてはなりません。 完璧なタイミングで常に一定のショットを打つことは、世界のトッププロをもってしても至難の技です。

ゴルフスイングは、とても複雑で、いろいろな動作が複合してできています。 雑誌などを見ても、脚が、腕が、腰が、肩が、肘が、手首が、、、、などと毎週のように「こうすれば上手く打てる」「こうすれば飛ぶ」といった記事が見られます。

しかし、一般的に知られる修正方法では、表面的な問題に対処しているだけで、スイングを本質的に改善することはできない可能性があるのです。

例をいくつか挙げます。
1)フォロースルーで左肘が引ける(右打ちの場合)
2)頭が動いてしまう、あるいは体がどちらかに流れて(スウェイして)しまう
3)トップする

こういった問題に直面したとき、どの様に修正するでしょうか?

1)肘が引けないように腕を伸ばす、返す
2)頭を固定しようとしたり、体が流れないようにしたり意識する
3)ヘッドアップしているからトップするのだと判断し、ボールを良く見る。あるいはクラブをすくい上げるようにしているからトップすると判断し、ヘッドを打ち込むようにする

問題点やそれへの対処はまだまだ数えきれないほどありますが、このようなスイングの修正方法が最も一般的なものであり、あなたも友達にアドバイスされたり、雑誌で目にしたり、普段のレッスンで指導されたりする修正方法でしょう。
「目につく問題点を意識して直す」という、単純な方法です。

運動能力がすごく高い人ならば、意識するだけでその点を修正できる可能性もあります。しかしほとんどの人は、偶然上手くいく以外は、「意識するだけ」で問題点を修正することは難しいのではないでしょうか?
あなたも、いつも指摘されるポイントが、なかなか上手く修正できないと言う体験があるでしょう。

それは、その問題への対処が、「本質的にスイングを改善するもの」ではないからなのです。
次ページ > 問題の本質はどこにあるのか

Text by Akihiro Ishida Edit by Momiji Tobimatsu

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事