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スポティファイのダニエル・エクCEO(Photo by Michael Loccisano/Getty Images for Spotify)

スポティファイは8月24日、上場前の最後の難題だったワーナーミュージックとの契約更改を無事完了した。残された課題は米SEC(証券取引委員会)に対し、「直接上場(direct listing)」という手法が正しい選択であることを説得するのみだ。

スポティファイは、年内のニューヨーク証券取引所への上場を目指しているが、通常のIPOではなく、新たな資金調達をせずに株式を直接登録する「直接上場」という手法を選択した。直接上場の大きなメリットの一つは、引き受け証券会社を選ぶ必要がないため、多額の手数料を支払わなくて済むことだ。この他にも、スポティファイが直接上場を選んだ理由として以下のことが考えられる。

・直接上場では、ロックアップ期間(公開前の大株主が、上場後に保有株の売却を制限される期間)が設定されないため、創業者やベンチャーキャピタルは通常のIPOよりも早くキャッシュアウトすることができる。
・直接上場では安定株主がいないことで上場後の株価が不安定になるリスクがあるが、スポティファイは敢えて直接上場を選択した。
・同社は、機関投資家や一般投資家からの評価を気にしているのかもしれない。同社の売上高は30億ドル(約3300億円)を突破しているものの、赤字が拡大し続けている。直接上場では機関投資家ではなく、主に個人投資家が株式を購入するため、急激な下落を避けられる可能性がある。

課題は「第2の収益の柱」の構築

スポティファイが既に利益を出しているか、黒字化が見えていれば直接上場という奇策に打って出る必要はなかっただろう。同社が黒字化を達成するには、アップルのようにハードウェア事業に参入し、スマートスピーカーを開発するのも手かもしれない。

スマートスピーカー市場はまだ黎明期にあり、新規参入するにはまだ遅くない。また、ハードウェアから得られる利益は、音楽ストリーミングとは比べものにならないほど大きい。もちろん、ハードウェア事業を成功させるのは簡単ではなく、これまでにグーグルをはじめ多くの企業がチャレンジをして失敗している。

一方で、Beatsのような成功事例もある。同社のリソースはスポティファイよりもはるかに乏しかったが、洗練されたデザインとマーケティングによって大成功を収めた。もし、スポティファイがハードウェア事業への参入計画を発表すれば、市場は大きく反応し、株価が上昇する可能性が高い。

スポティファイにとって最大のリスクは、事業ドメインが音楽ストリーミングのみであり、同社の命運がこの一つのビジネスにかかっているということだ。アップルやグーグル、アマゾンは資本力でスポティファイを大きくしのぎ、音楽ストリーミングが事業全体に占める割合はごく一部に過ぎない。彼らが集客狙いで音楽ストリーミングの採算を度外視する戦略を取ったとしても、利益にはほとんど影響を及ぼさないだろう。

スポティファイは業界首位とはいえ、強大なライバルの存在は大きな脅威であり、市場はそのリスクを注視している。同社にとって今後の課題は、音楽ストリーミングに続く第2の収益の柱を早期に立ち上げることだ。

編集=上田裕資

 

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