求職者が面接の段階で直面する最大の障壁は、容量オーバーになっている採用責任者の脳だ。採用責任者が短期間に非常に多くの人を面接することはよくある。すると責任者の脳には過大な負荷がかかり、各候補者を明確に覚えられなくなる。あなたは他の候補者の中に紛れてしまうのだ。
面接で目立ち、後々まで覚えてもらえるようにする最善の方法は、入社後おそらくあなたの上司となる採用責任者が欲するメッセージを発することだ。そのメッセージとは「私はあなたが直面している障害を理解しています」だ。
大半の人は、仕事の面接では自分のことを話すように、と教えられてきた。自分がいかに賢いかとか仕事熱心であるかといった、誰も気にしないようなくだらないことを話すよう言われてきた。
以下に、どのような仕事でも最有力候補となるためのシンプルな面接テクニックの使い方の例を2つ挙げる。最初の例では、16歳のAさんが初めての仕事を得るために面接を受ける。Aさんが面接を受ける仕事は、大型小売店のショッピングカート係だ。
面接官:では、自己紹介をして下さい。
Aさん:はい。私はこの街で育ち、今は〇〇高校の2年生です。バレーボールチームに所属しています。仕事について、少し質問してもよろしいですか?
面接官:もちろん。
Aさん:ありがとうございます。これまで、お店には買い物客としてしか行ったことがありませんが、カート係は駐車場にあるショッピングカートを集め店内に戻していることに気づきました。それに加え、荷物の多い客が車まで行くのを手伝っているとも思います。レジ係を手伝ったり、裏で返却なども行ったりしているんじゃないかと想像しています。主な仕事内容で、私が見逃している内容は他にありますか?
面接官:よく分かっていますね! それと、トイレ掃除もします。
Aさん:ありがとうございます。そうですよね。
面接官:いつから仕事を始められますか?
例はここまで
面接官はなぜ、Aさんが述べたカート係の業務内容を聞いてとても嬉しく思ったのだろう?その理由は、面接を受ける若者の大半が、仕事の内容についてよく分かっていないか、分かっていたとしてもそれを伝えないからだ。