ビジネス

2017.09.01

ウーバーが「顧客の追跡」機能を改善、プライバシー保護に配慮

Kadek Bonit Permadi / shutterstock.com

ウーバーは昨年、同社のアプリに導入した顧客の行動の追跡する機能を廃止する。ウーバーは現在、顧客サービス改善や安全性の向上を目的として、アプリが開いている間と配車リクエストから降車後の5分後までの間、顧客の位置情報を収集する権限をアプリに持たせている。

位置情報の利用について現在は、プライバシー設定から「許可しない」と「常に許可」の2つしか選べないが、今後は「乗車中のみ」に限定できるようになる。

このニュースを最初に報じたロイターの記事によると、ウーバーの幹部は昨年この機能を導入したことについて「誤った判断だった」と認めている。ロイターの取材にウーバーのセキュリティ主任Joe Sullivanは、同社がプライバシー保護に関する配慮を欠いていたことを認め、今後は改善を行うと述べた。

ウーバーが顧客の降車後5分間までの位置情報の収集機能をアプリに追加したのは2016年の後半のことだ。しかし、同社はその後、アンドロイドのユーザーに関しては降車後の位置情報の収集を停止し、iOSのユーザーに関しては情報の収集をまだ開始していないと説明していた。

セキュリティ主任のSullivanは、トラビス・カラニックがCEOを辞任後のウーバーで重要な役割を果たしてきた人物の一人だ。「チームのメンバーらと共に難局を乗り越え、義務を果たすべく努力を行ってきた」とロイターの取材に彼は答えた。

ウーバーは前CEOのカラニックが、社内で運転手と口論になった場面の動画が流出して以来、世間の厳しい批判にさらされた。同社は「180日チェンジ」と呼ばれるプログラムを実施し、運転手との関係改善に務める動きも開始した。

ウーバーでは女性社員に対するセクハラや雇用条件に関する問題、規制当局への対応といった様々な問題が浮上するなかで、顧客のプライバシー保護も重要な課題となった。

8月15日に米連邦取引委員会(FTC)はウーバーの個人情報管理がずさんだったとして、ウーバー側が今後20年間、第三者機関による監査を受けることに同意したと発表した。

米国のNPOの電子フロンティア財団(EFF)は、今回のウーバーの位置情報収集ポリシーの変更に関し、次のような声明を発表した。

「顧客らは降車後のプライバシーを主張するための十分な法的根拠がある。アップルも位置情報の収集に関して慎重な姿勢を強めており、今秋導入されるiOS11以降では、全てのアプリは位置情報の利用権限に関し「アプリの使用中のみ許可」をサポートすることが必須となる(つまり、“常に位置情報の使用を許可しないと利用できないアプリ"の存在が許されなくなる)。顧客らは今後も自らの意思で「常に許可」のままでアプリを利用することも可能だが、EFFとしては「使用中のみ許可」に設定を変更することを推奨する」

この件に関しウーバー側にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

編集=上田裕資

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