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2017.08.31

クラウドファンディングで誰もが挑戦できる社会に / CAMPFIRE家入一真

家入一真 CAMPFIRE代表取締役社長


こう思うようになったきっかけは、学費が払えずに困っている大学生の学費を「studygift(スタディギフト)」というプラットフォームで集めようとして炎上した経験です。「この人だけずるい」というような感情から自分事としてとらえる人が多く、学費をめぐってツイッター上でさまざまな意見が飛び交いました。

いま振り返ると、この一件は、一つの問いだったのだと思っていて。お金とは、クラウドファンディングとは、「こうでなければいけない」というものをいかに外していくか。そのから、できることの可能性が広がっていくのだと感じるようになりました。

クラウドからフレンドへ

炎上もそうですが、クラウドファンディングに対して「大義名分がなければいけないのでは?」、「目標金額に達しなかったら恥ずかしい」といったハードルの高さを感じて一歩踏み出せないという人は多い。しかし、クラウドファンディングはもっと身近でいいんです。

たとえば、恩師の退任にあわせて、これまでの生徒全員から旅行をプレゼントするなど、誰かのためにみんなでお金を出すというかたちは本来、もっと近くにあったはずです。2017年8月には、クラウドという大衆ではなく、現実の友人関係の中でファンディングができるpolcaという新サービスを開始しました。

従来のオープンなクラウドファンディングでは、実現できていなかったことも、クローズドなプラットフォームであれば実現できることもあるのではないか、と期待しています。

インターネットの空間自体は国境を超えて広がっていく一方で、個人を中心としたコミュニティーはどんどん縮小しているという印象です。であれば、地域、趣味、会社などさまざまな単位の特定のクラスターのなかで使ってもらえる。そんなサービスをもっとつくっていきたいと考えています。

クラウドファンディングに対してネガティブな意見はまだありますが、この1年ほどで潮目が変わったと感じています。キングコング西野亮廣さんの個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催するプロジェクトなど、いままでクラウドファンディングで支援したことがなかった層を取り込むような大型プロジェクトが複数出てきたことで、クラウドファンディングに対する印象の変化が起きているのです。

今後はそういう事例をつくりつつ、草の根のプロジェクトも多く生み出していく必要があると感じています。

編集=新國 翔大

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