ビジネス

2017.08.31

クラウドファンディングで誰もが挑戦できる社会に / CAMPFIRE家入一真

家入一真 CAMPFIRE代表取締役社長

2017年に入り、融資サービス「CAMPFIRE レンディング」や、友人間で行うフレンドファンディング「polca(ポルカ)」といった新たなサービスを開始し、従来の購入型クラウドファンディングの枠にとどまらない挑戦を続けているCAMPFIRE。

同社の代表取締役社長、家入一真は、多様化するクラウドファンディング市場にどのような未来を描いているのだろうか


クラウドファンディングと聞くと、注目されるのは一般的に著名人や大企業によるプロジェクトです。しかし、インターネットの本質は、無力で無名でお金もないような人たちが声をあげられるところにある、と僕は考えています。

日本は課題先進国と呼ばれることもあるように、貧困や格差、少子高齢化など、これから立ち向かうべき課題が山積みです。そういう課題に対して誰もが声をあげられる、そんなツールとしてクラウドファンディングを、より社会に浸透させていかなければなりません。

クラウドファンディングは、数ヶ月という短期間に高い熱量でファンを獲得してお金を集めることに向いています。しかし、その一方で、プロジェクトの中には継続して支援する必要のある「NPO(非営利団体)」などの活動もあります。NPOにとって、プロジェクトの宣伝活動やリターンを準備する負担は大きく、プロジェクトが一度きりで終わってしまうことも少なくありません。そうしたプロジェクトを目にしたとき、「これって社会貢献になっているのかな」と思ったんです。

だからこそ、CAMPFIREでは購入型から少しずつクラウドファンディングの考え方を広げていき、今ではリターンが発生しない寄付型や月額制のサービスを導入しています。また、CAMPFIREとは別のGood Morningという社会貢献に特化したクラウドファンディングでは課題ごとにクラウドファンディングを行い、複数のNPOが共同で資金を集めて分配できるような仕組みをつくり、長期的に支援していけるようにしています。

また、現在進めている金融領域でも、ファンド型や融資型を組み合わせるなど、NPOを支援する様々なかたちを追求していきたい、と思っています。

もう少し詳しく話すと、いま狙っているのは、寄付、自分のための投資、という2つの選択肢以外の可能性です。イメージは「NPOバンク」のような仕組みです。出資額とほぼ同じ額しか戻ってこないけれど、出資した100万円が回り回って社会が良くなっているのなら、それはある意味、利回りと考えられるのではないかと。

こうした発想はこれから増えていくでしょうし、支援者の出資先もより多様になっていくでしょう。

判断は民衆にゆだねる

これは、日本人のお金の捉え方なのかもしれませんが、個人がカフェをつくりたい、個展をしたい、映画を撮りたいというようなプロジェクトが上がってくると、サービス開始当時は「そんなお金は自分でバイトして稼げ」といった論調が多く、”ネット乞食”といわれることもありました。

プロジェクトの内容によっては、ネガティブな意見が出てくることもあります。ただ、プラットフォーマーとして僕らがやるべきことは、ジャッジをするのではなく、問いを投げかけることです。「これってありなの? なしなの?」というのは、それを受け取ったみなさん、民衆にゆだねるというスタンスでありたい。

CAMPFIREはあくまで声をあげるためのツールであり、それをサポートする仲間として、とにかくたくさんの事例をつくり続けることが使命だと思っています。
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編集=新國 翔大

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