新たなトレンドを認識すると、消費者はその時点ですぐに最新の商品を購入したいと考える。アルバノンは、ファッション業界の「1年から1年半先のトレンドを予測して紹介するサイクルは、すでに崩壊している」と説明。今年に入り小売業者の破綻や店舗閉鎖が相次いでいる理由は、この点にあるとの考えを示した。テクノロジーを駆使する消費者の動向は予測が不可能であり、小売業者が1年半後の消費者の好みを予測しようとすることが、すでに時代遅れなのだ。
マジックではその他のいくつかの小売業者が同様に、「季節の変わり目が不明瞭になっており、消費者は従来のファッション業界のルールに従わなくなっている」との見解を述べた。それを示す例としては、季節に関係なく使用できるスタイルや色、素材を取り入れた商品が人気を得ていることが挙げられる。
デザインの完璧さより「売れる」ことが重要
そのほかマジックでは、デザインの完全性や商品の出荷時期などに関する点で、デザイナーが小売業者の最大の敵になり得ることが指摘された。例えば、デザイナーは自分が作った服に合う「完璧な」ボタンや「正しい」糸、「理想的な仕上がり」の必要性を主張する。そうした細部が服やアクセサリーに「違いを生む」と確信しているためだ。
だが、結局のところ多くのデザインにおいて、ボタンは単なるボタンに過ぎない。現在の市場でより重要なのは、発売までのスピードだ。企業は迅速に新商品を市場に送り込まなければならず、商品のディテールにこだわることは、必ずしも生産的とはいえない。
商品は消費者が関連性を感じられるものであり、「売れる」ものでなくてはならない。現在の小売市場が求めているのは、ユニークな、あるいは他にはない商品だ。