ウーバーの新CEOに任命されたコスロシャヒは今後、テクノロジー業界で最も破壊的なイノベーションを達成した企業の命運を握ることになる。投資家らはコスロシャヒの選出を歓迎しているが、ここで注目すべきは彼がこれまでドナルド・トランプ政権に対して距離を置く発言を繰り返していたことだ。
ウーバーの前CEOのトラビス・カラニックが一時、トランプ政権の助言チームのメンバーに加わり非難を浴びた一方、コスロシャヒはトランプを批判する発言を行っていた。
イランで生まれたコスロシャヒは4歳の頃、イラン革命後の難民として家族らと米国に移り住んだ。彼はフィナンシャルタイムズの取材に対し「米国が移民にどう対処するかは重要な問題だ。しかし、私自身も移民としてアメリカに来た人間だ。米国は移民がつくった国なのだ」と述べていた。
ブラウン大学で電気工学の学位を取得し、金融業界でキャリアを積んだ後にメディア企業IACでCFOを務めたコスロシャヒは、自らをアメリカンドリームの体現者だとみなしている。彼は2005年にエクスペディアのCEOに就任し、2008年のリーマンショックを乗り越え、旅行業界の新興勢力のエアビーアンドビーらとの競争を勝ち抜いてきた。
ウーバーの新CEOに就任したコスロシャヒの前途には、分裂した取締役会をどう率いていくかといった難題も待ち構えている。ウーバーの取締役会では初期からの大株主であるベンチマークキャピタル派と、元CEOのカラニックを支持するグループが激しい権力闘争を繰り広げていた。
コスロシャヒはまた、ウーバーの未来に大きな影響を与える自動運転関連の訴訟をどう乗り切るかという課題も抱えている。さらには混乱を極めた社内人事で新COOや新CFOに誰を選ぶかに関しても、慎重な判断が求められている。