カリフォルニア州本拠の物流スタートアップ企業「Zipline」はこの問題の解決を目指し、2016年10月からルワンダで輸血用の血液を運ぶプロジェクトを開始。ルワンダ全体の20%の血液需要をまかなうまでの規模に成長した。
Ziplineは8月24日、このオペレーションをタンザニアに拡大するとアナウンスした。タンザニアでは5500万人の人口の68%が遠隔地に住んでいる。同社は今後タンザニア国内に4ヶ所の物流拠点を開設し、世界最大のドローン物流網を構築。医療機関に様々な医薬品を届ける計画だ。
「先進国では人工知能(AI)の活用が進む一方で、その恩恵は開発途上国にも広まりつつある。アフリカの諸国に新たなテクノロジーを投入していく」とZiplineのCEOのKeller Rinaudoは声明で述べた。
Ziplineは今後、タンザニアで血液だけでなく抗毒血清や狂犬病ワクチンの輸送も開始する。同社は政府と共同で100機以上のドローンを運用し、1000ヶ所以上の医療施設に連日約2000回のドローン輸送を行うネットワークを構築する。国内の4ヶ所の物流センターにはそれぞれ約30機のドローンが用意され、医療機関はスマホのテキストメッセージで配達を依頼。発注から30分以内に医薬品を受け取れる仕組みだ。
「発展途上国の問題は複雑に絡み合っている」とRinaudoは言う。現状ではドローンの1配送にかかるコストは、自動車を用いた場合とほぼ同等だが、車両での運搬にくらべ劇的に短時間で配送できる点がメリットだ。タンザニアでのオペレーションは2018年の前半に首都のドドマでスタートする。
「世界で毎年数百万人の人々が、医薬品を入手できないことにより命を落としている。これは、先進国や開発途上国を問わず起きている問題だ。Ziplineは独自のドローン流通網により、この問題の解決にあたっていく」とRinaudoは述べた。