従来はこの手のツールはデスクトップPCで稼働していたが、モバイル全盛の今、シマンテックの調査によると誰でも簡単に身代金ウイルスを作成可能なアプリが登場したという。
専門家が「トロイの木馬製作キット(TDK)」と呼ぶこの手のアプリはアンドロイド端末をターゲットにするが、グーグルプレイを通じて配布されるものではない。現状ではこれらのツールは中国国内で出回り、人気のSNSアプリを通じて広まっているようだ。
TDKはサブスクリプション型のビジネスモデルで運営されている。新ユーザーに対しては都度課金型の決済も提供し、アマチュアのハッカーがプロのサイバー犯罪者のアドバイスを受けてウイルスを作ることも可能だ。シマンテックによると、サブスクリプション会員になればあらゆる種類のウイルスが無制限で作成可能になるサービスもあるという。
素人のハッカーがパーソナライズしたウイルスを自由に配布可能になるこうしたサービスは、セキュリティ面で重大な脅威を引き起こす。今のところ、こうしたアプリの被害は中国国内にとどまっている。背景には中国ではグーグルプレイの利用が禁止されており、セキュリティの甘いサードパーティーのアプリストアが人気を博しているという事情がある。
しかし、シマンテックのアナリストのDinesh Venkatesanはこの状況に間もなく変化が訪れるだろうと述べている。「中国語以外の様々な言語に対応したTDKが登場するのも時間の問題だ」とVenkatesanは言う。
今後はモバイルアプリで作られた身代金ウイルスアプリが、世界中で猛威をふるう可能性も十分にある。被害に遭わないためには、端末のアンドロイドのバージョンを常に最新版に保ち、信頼できる開発者のアプリのみをインストールすることが求められる。また、ダウンロードの前にアプリが怪しい権限を取得しようとしていないかを確認することも有効だ。